アラスカでラッコが大量死 250匹に達するもいまだ原因不明
アラスカの南海岸では、今年になって異常な数のラッコが漂着するという事態が発生しています。
そのほとんどが病気で弱っているか、すでに死亡した状態で漂着しているのです。
多くの科学者たちがこの原因を究明しようと努力を重ねていますが、いまだ正確なことはわからないままになっています。
【昨年の2倍の数の死体が漂着】
すでに250匹のラッコが死体もしくは瀕死の状態で、アラスカのカチェマック湾海岸で発見されています。
昨年(2014年)にも瀕死のラッコやすでに死んだラッコが漂着しており、その数は平均よりも多かったといわれていますが、今年はすでにその2倍の数に達しているのです。
今まで行われた海水の検査などの結果、異常発生した藻に含まれる毒素や、バクテリアの感染による病気などがラッコの惨状の原因となっていると考えられていました。
しかし今年に入ってから漂着数が急激に増加したことから、そのほかの要因も考えられるという意見が出ています。
ある専門家は「すでに判明している病気以外の要因が、ラッコを襲っているようだ」と語る一方、これも現時点では推測に過ぎない、とも述べています。
発見されたラッコのなかには、長い間患った病気が原因でやせ細っているものもある一方、とても健康的な体重のまま死んでいるもの(突然死したもの)も見つかっているということです。
突然死したと見られるラッコは、死ぬ直前に全身麻痺にかかったり、人の脳梗塞のような症状を発症したよう見受けられる、という報道もあります。
(More otters washing up; cause remains unknown)
【生態系への影響も】
このカチェマック湾には6,000匹のラッコが生息しており、この地域の生態系にとって欠かせない存在です。
そのため専門家たちは、ラッコが大量死するということはこの地域の生態系全体がダメージを受けていることになる、と見ています。
アラスカ州やアメリカ合衆国の関係者たちは10月、専門家たちによる本格的な調査が開始されたことを発表しました。
動物病理学の専門家によると、海中のあるバクテリアが主な犯人の可能性があるが、このバクテリアはカチェマック湾に生息するラッコにとっては珍しいものではない、とも語っています。
そのため「ラッコが致死的な病気に感染してしまうような、何か別のことが起きているように思える」と述べるとともに、もし原因が発見されてもその解明には数週間から一ヶ月はかかるだろう、と述べています。
(Alaska's Sea Otter Deaths Continue to Stump Scientists)