象牙の価格 中国で50%下落 ゾウ保護の可能性が見えるか?
ゾウの保護団体が、中国で違法取引されている象牙の価格が50%下落した、と発表しました。
これはアフリカで絶えず続いている密猟の減少へつながるのでは、と期待されています。
【象牙価格の下落】
ケニアに本部を置くゾウの保護団体によると、中国で違法取引されている象牙の価格は1kgあたり1,100ドルとなりました。
昨年の1kgあたりの価格は2,100ドルを記録しており、実質半額近くに下がったことになります。
「この価格の下落により、アフリカゾウへの需要が低くなる可能性が高くなりました。その結果、現在も続いている密猟者によるゾウの殺害の減少にもつながることが期待されます」
実は現在の1,100ドル/kgという価格は、密猟・密輸をしている犯罪組織がまだ利益を上げることができる価格水準です。
しかし下落傾向は続いてきており、ゾウの保護を進めるためにはポジティブな傾向だと期待されています。
象牙の獲得を目的として、毎年3万頭を超える数のゾウが殺されているといわれています。
「象牙価格の下落はとても喜ばしいことですが、アフリカで殺害されているゾウの数については、喜ぶのはまだ先のことだと言わなければなりません」と上記のゾウ保護団体は語っています。
【中国の象牙取引】
中国は今年に入って、合法取引・非合法取引ともに、象牙の売買を減らす対策をとってきました。
中国の消費者たちは、象牙取引がアフリカゾウに与える影響について注目し始め、意識を高く持つようになって来ています。
しかし現時点では、中国国内の象牙取引の全面禁止には至っていません。
中国の著名人たちは、象牙取引に反対するキャンペーンに積極的に参加しています。
また10月に中国の習近平国家主席が国賓としてイギリスを訪問した際、イギリスのウィリアム王子は象牙の使用をボイコットするよう、中国の人たちに対して訴えました。
象牙取引は、1989年に国際的に禁止されました。
しかしその時点で売れ残っていた在庫の売却、そしてかつて捕獲した象牙の売買などはいまだに許可されています。
密輸業者たちはこれらの一部の合法的売買の中に、違法取引で入手した象牙をまぎれさせてビジネスを続けていると見られています。
【香港の例】
国際取引が禁止されているにもかかわらず、香港では下の写真のようにスペイン語で商品説明が行われているなど、禁止事項を無視した商行為が横行しています。
アメリカと中国は、二国間での象牙取引を禁止する取り決めを行っていますが、香港だけはこの政府の方針に反対しているといわれており、いまだに違法なものを含めた象牙の売買が続けられています。
(写真撮影を拒否する香港の象牙業者)
その一方、香港内部でも象牙取引に対して反対する声が上がっており、このような市民による抗議活動も行われているということです。
参考:
Ivory price drop in China signals fall in demand, report says
Hong Kong's illegal ivory trade revealed – in pictures