中国が動き始めている「象牙取引の全面禁止」 ほかの国にもある問題とは?

f:id:georgekato:20161220003941j:plain

 

今日も15分ごとに1頭のゾウが殺害されています

象牙目的のために行われている殺害ばかりです。

 

この象牙は主に中国へ輸出されます。

中国は合法・非合法含め、世界最大の象牙市場です。

 

この中国は昨年(2015年5月)、今後国内の象牙売買の完全閉鎖に向けて動き出すことを約束しています。

 

 

【まずは違法取引の取り締まりから始めるべきでは?】

合法・違法を問わず、いきなり全面禁止を目指すのはなぜでしょうか?

 

中国で合法取引されている象牙は、アフリカから輸入されています。

 

この輸入は、そのたびごとに輸入認可を得て行われています。

許可を得た業者が、同じく許可証の貼られた象牙を輸入し、政府に登録している業者が加工して商品化し、同じくライセンスを持っている店が販売する、という流れです。

 

しかし、そこには違法取引で輸入された象牙が混入されて、合法の象牙と同じ販売経路で流通してしまっており、いわゆるブラックマーケットではない正規の店で違法の象牙が売られている状態なのです。

 

そのため、象牙取引をしている市場の存在そのものが問題の根源であるとして、以前から指摘されてきました。

 

そして違法取引の象牙を完全になくすために、象牙そのものの取引を全面的に禁止するしかない、というのが広く唱えられてきた意見だったのです。

 

f:id:georgekato:20161220004213j:plain

 

【すでに動き始めている中国国内】

ご存知の通り中国では、象牙を素材にした彫刻が伝統文化として受け継がれています。

 

現在でもこの象牙彫刻を生業としているプロの彫刻家たちがいるため、中国政府は象牙取引禁止の後でも彼らの生活に困難が生じないようにしたいと考えています。

 

中国政府内の象牙取引を監督している部門は、合法取引をしている業者たちから多くの聞き取り調査を行い、全面禁止の実行可能性に関する検討作業をすでに終わらせています。

 

「全面禁止」の発表があって以来、(違法取引を含めた)象牙業者たちの多くはすでに別のビジネスを開始しているといわれています。

また中国国内の象牙価格は下落し始めたという証言もあります。

 

中国国内の合法取引自体は、実はそれほど規模の大きいものではありません。

中国全土でも34の象牙商品製造業者と130の小売店しかないといわれています。

 

そのため、象牙取引全面禁止に対する中国の一般人たちからの反発はほとんどないという報道もあります。

 

f:id:georgekato:20161220004231j:plain

 

【では中国に期待できるか?】

しかし一部の専門家は、中国政府は世界各国が期待できるほど実行力がないのではないか、と警戒しています。

 

そもそも外交政策上の悪影響さえなければ最初から実行する気はないのではないか、という懸念を表す人まで出てきています。

 

中国が象牙取引の全面禁止に向けて動き出すことを宣言したときも、その期限は明言していないのです。

 

 

【悪者は中国だけ?】

しかし同時に、あまり知られていない問題がヨーロッパ諸国にあります。

 

実はヨーロッパ諸国の業者こそがアフリカの象牙を買い取り、それを中国に輸出するビジネスを行ってしているのです。

 

EU諸国からの象牙の輸出量はここ数年急激に増加しているといわれています。

2013年と2014年で300本以上の象牙を輸出しているというデータもあります。

かつては10年間で100本しか輸出していなかった時期もあり、急激な増加です。

 

彼らのお客さんは中国本土や香港の輸入業者がほとんどで、ヨーロッパからの輸出量のうち92%を占めています。

 

 

【結局、世界各国が向き合う問題】

また象牙を素材とした商品の取引も近年急増しています。

こちらは中国などからヨーロッパ諸国が輸入しているものです。

 

イギリスでは、象牙製の置物がアンティークとして人気があります。

そのためこの国でも象牙取引の禁止を訴える声が強くなりつつあります。

 

たとえば、イギリス議会に対して象牙取引禁止を訴える請願がウェブサイトで受け付けられており、すでに8万人の署名が集められています。

署名数が10万人分になると国会で議事として取り上げられるそうです。

 

 

日本も今まで象牙をたくさん使ってきました。

その分、ゾウがたくさん殺されたということです。

先進諸国が少しずつでも象牙禁止に向かって動き出しているなか、日本は今のところ見て見ぬふりをしていないでしょうか?

 

 

   

 

www.theguardian.com