象牙だけではない 毛皮目的でもゾウの密猟が横行
ゾウたちが象牙目的で密猟の対象になっているということは長らく指摘されており、密輸する人たちを含めた国際問題にもなっています。
これは主にアフリカ各国で起きていることとして、メディアでも熱心な追及が続けられているところです。
【メスや子供たちまでターゲットに】
密猟が行われているのはアフリカに暮らすアフリカゾウだけではありません。
ミャンマーでもゾウの密猟が横行しています。
この国ではアフリカの場合と同じく象牙目的での密猟も行われていますが、その「毛皮」を目的とした密猟も目に余るものがあります。
ゾウの毛皮を使ったブーツとベルト
(https://www.varagesale.com/brenham-tx-4-sale/i/n8cc9qje-tony-lama-elephant-skin-boots-and-belt-combo)
アジアゾウの場合、メスには牙がありますがとても短いため、外からはほとんど見えません。
(アジアゾウのメス)
そのため、密猟者たちも象牙目的ではメスはターゲットにはしないのがふつうです。
同じく、象牙が生えてきていない子ゾウもまた(オスでもメスでも)狙われることは通常ありません。
しかし目的が毛皮となるとゾウの性別も体の大きさも一切関係ないため、密猟者たちは見境なくターゲットにしてしまうのです。
また猟銃による殺害だけでなく、毒入りのエサを食べさせて殺すという方法も行われている、と報告されています。
ゾウ革製のバッグ
(http://www.rojeleather.com/species-and-leathers/elephant-leather/)
自然保護団体「ファウナ&フローラ・インターナショナル」は、このまま密猟が続けられれば、ミャンマーからゾウがいなくなってしまう、と警告を発しています。
2010年以降、ミャンマーで行われている密猟が原因で95頭のゾウが殺害され、さらにはそれにかかわった35人の人が命を落としている、という政府の記録があります。
数十年前までは、1万頭の野生のゾウがミャンマーで暮らしていました。
しかし現在、ゾウの生息数は1,400~2,000頭といわれています。
これもあくまで推定であり、実際はもっと少ない可能性もあるそうです。
ゾウの毛皮はすでに長い間にわたって、違法業者が取引を続けてきました。
しかし最近になって、その取引量が急増していると言われています。
ゾウ革製の財布
(https://www.ovleather.com/products/elephant-skin-antique-saddle-color-long-wallet)
ゾウの毛皮は装飾品に加工されたり、”医薬品”として販売されたりしています。
こういう場合の”医薬品”のほとんどが医学上何の根拠もないものばかりですが、ゾウの毛皮についても同様で、その効用は医学的にまったく証明されていません。
ミャンマーでは、ヤンゴンやチャイティーヨーといった観光地でゾウの毛皮をはじめとする野生動物を使った違法商品が販売されています。
ファウナ&フローラ・インターナショナルは、これらの商品を販売しているマーケットを閉鎖するのがミャンマーに暮らすゾウたちの将来を守る重要な手段です、と述べています。
またスミソニアン保全生物学研究所によると、2017年に入ってすでに30頭のゾウが殺害されており、これは昨年までの年間平均殺害頭数をすでに超えた数字とのことです。
【私たちにできることは?】
世界自然保護基金(WWF)は「ゾウの体を使った商品が売られているのを目撃したら当局に通報するべき」と訴えています。
少なくとも、もし私たちが現地を訪れそのような商品が売られているのを目撃した場合は、絶対に買わないようにしたいものです。
観光地のおみやげ屋などは「日本は素晴らしい国だから安くしますよ」などと調子のいいことを言ってくるかも知れません。
しかし「ゾウの体を使った商品を買った時点で、自分もゾウの殺害に手を染めたことになる」ということを忘れないようにしましょう。