「猫エイズ」についてもう一度復習しよう

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いわゆる「猫エイズ」と呼ばれる病気については、ネコの飼い主たちの間でも十分な理解が広まっていないのが実情です。

 

そしてこの理解不足が、この病気の感染が広まってしまう原因のひとつにもなっているのです。

 

 

【猫エイズとはどんな病気?】 

猫後天性免疫不全症候群(FIV)はヒトのHIVと同じ種類に分類され、血液中の白血球を殺してしまう病気です。

 

白血球がなくなってしまうため、FIVに感染したネコの体は他のウィルスに感染してもそれを撃退することができず、結局そのウィルスに負けてしまうことになります。

 

 

【どのように感染する?】

ネコ同士がケンカをし、片方がFIVに感染していた場合に、噛み付いた傷口から唾液を通して相手のネコにうつしてしまう、というのがよく見られる感染経路とされています。

 

ウィルスは感染しているネコの血液や唾液の中に存在するものですが、体外に出るとすぐに死滅してしまうことが分かっています。

 

そのため、単に血液や唾液に触れただけならば、必ずしも感染するとは限りません。

 

しかし、いったん感染してしまった場合は、治療する方法は今のところ見出されていないのです。

 

なお、この病気はヒトにうつるものではありません。

 

 

【予防対策は?】 

感染させないために最も有効な方法は、去勢手術であるといわれています。

 

ケンカをして噛みつかれる場合のほか、交尾によっても感染しますが、去勢手術をしてあげれば交尾による感染の確率は事実上なくなります。

 

また一般的に、去勢されているネコは行動がおとなしくなる傾向があり、その結果ほかのネコと争う可能性も低くなるため、ケンカで噛み付いて(噛み付かれて)感染してしまう確率も低くできるのです。

 

 

【たとえ感染しても】 

たとえ感染した場合でも、そのネコが楽しく満ち足りた生活を送ることは十分可能です。

 

この場合は飼い主が感染しているネコを屋外に出さないよう、責任を持って管理することが求められます。

 

FIVに感染したネコが屋外でほかのウィルスに感染してしまうと、その病気を白血球によって撃退できないことから、症状が悪化してしまい、死にいたることも考えられます。

 

また屋外に出ているときに他のネコとケンカをした場合、そのネコにFIVをうつしてしまう、という結果になりかねません。

 

 

【飼い主として意識したいこと】 

上記の通りFIVはヒトにうつらない病気ですから、たとえ身近なネコがFIVに感染していたとしても、それだけで問題のあるペットになってしまうわけではありません。

 

FIVの感染が判明しただけでそのネコを保健所に連れて行った、という例も耳にしたことがありますが、むしろFIVに感染しているからこそ、そのネコは飼い主さんのあたたかい保護を必要としているのです。

 

また、里親を募集しているネコたちの中には「FIVポジティブ」と書かれているものもありますが、去勢手術をして屋内(室内)飼いをすれば、通常の場合は乗り越えられることです。

 

正確な知識を持ち、偏見なくネコたちに接してあげたいものです。

 

 

(参考:Winter's Tail: Get your cat neutered to protect it from FIV