ラッコが絶滅危惧種になってしまった原因
ラッコは水面に浮きながらおなかの上にのせた石に貝をぶつけて割り、その中身を食べる習性があることでよく知られています。
顔も可愛らしいため、水族館などでもよく見かけ、またテレビなどで映像をご覧になった方も多いでしょう。
しかし、この動物は環境省によって絶滅危惧種に指定されています。
なぜラッコは絶滅の危機に瀕してしまったのでしょうか。
大きく3つの原因が伝えられています。
【毛皮】
ラッコの毛皮は断熱性が高く、それを目当てに乱獲が行われました。
1700年代中盤までは、ロシア沿岸でたくさん泳いでいるのが見つかったといわれています。
しかし乱獲の結果、ほとんど目に付かない状態になってしまったため、1911年になってようやく保護の動きが始まりました。
【シャチの捕食】
生態系の頂点にいるといわれるシャチ。
アラスカ付近に生息するシャチにとっては、アシカが主な捕食対象でした。
しかしここにも人による乱獲の影響が、シャチの捕食関係にまで及んでしまいます。
アラスカでアシカが乱獲された結果、エサになる生き物が減ってしまったシャチは、代わりにラッコを狙うようになったのです。
これもラッコが激減する原因となりました。
【原油流出】
1989年、アラスカを走行していた原油タンカー「エクソン・バルディーズ号」が座礁し、運んでいた原油が海に流れ出しました。
近海に生息していたラッコはこの流出した原油に巻き込まれ、1000頭以上の死亡が確認されています。
また識者による推定では、実際には6000頭が死んだとも言われています。
このように、ラッコを絶滅危惧種に追いやった理由は全て人が原因です。
現在は、保護活動のおかげもあり、頭数は徐々に増えてきているといわれています。
【ラッコによる“害”】
公平な視点を持つため、ラッコによって“被害”を受けている人がいることも触れておきたいと思います。
ラッコはウニを好んで食べます。
そのため、ラッコが住み着いた海岸などではウニが激減してしまうことから、ウニ漁を仕事としている方々にとっては、ラッコの存在は“被害”のもとと考えられています。