喘息(ぜんそく)と診断されたラッコ 呼吸器で治療中
アメリカのシアトル水族館は、飼育しているラッコに喘息(ぜんそく)が発症したと発表しました。
ラッコがこの病気にかかるのは初めてとみられています。
ラッコの「ミシュカ」は今年8月、呼吸が困難になる症状を見せました。
シアトル水族館の近くで発生した山火事の煙を吸ったのがきっかけと見られています。
診断を行った結果、ミシュカは喘息を発症していることがわかりました。
専門の獣医さんに治療をしてもらい、薬は人に投与するものと同じ喘息治療用のものを与えられました。
喘息治療用の呼吸器も使用され、この使い方を覚えさせるために、芸を覚えさせるときと同じく餌を使って教育したようです。
シアトル水族館のサラさんは「出来る限り楽しく覚えてもらおうとしています。治療をするときは、やさしく前向きに取り組むようにしたいですね」と語っています。
今は合図を出すとミシュカは自分の鼻を呼吸器にのせ深く呼吸をするようになりました。
【動物と喘息】
ウマ、ネコ、イヌなどが喘息にかかることは知られていました。
しかし、家庭で飼育されてない動物が喘息にかかってしまう状況ついては、あまり研究が進んでいませんでした。
実はヒトについても、喘息の正確な原因は未だにはっきりしていません。
おそらく生活環境と遺伝が要因と考えられていますが、直接の発症原因は人によって異なると言われています。
ミシュカについても喘息発症の原因は分かっていませんが、この場合もやはり生活環境と遺伝が要因と考えられています。
山火事の煙を吸い込んだのがミシュカの喘息発症のきっかけと見られますが、一方でラッコの遺伝子が幅広く混合されていないことが発症の原因となった、という可能性も指摘されています。
シアトル水族館のあるワシントンでは、毛皮を狙った乱獲が原因でラッコは1900年代初頭に絶滅しているのです。
ミシュカはアラスカに生息するラッコの家族で、ワシントンに連れてこられました。
しかし一緒に連れてこられたほかのラッコの多くは、ワシントン到着後に間もなく死んでしまったため、その後の繁殖では数少ないラッコの間での近親交配となってしまったのです。
この結果、ミシュカの世代のラッコたちやその親・子供たちも、喘息発症の遺伝子を持っている可能性があると考えられます。
ミシュカは2014年7月に漁業用ネットに絡まって動けなくなっているところを助けられました。
アラスカの海洋センターでリハビリを受けた後、今年2月にシアトル水族館に移され、飼育されてきました。