絶滅危惧種 クロサイの生息数は増加 絶えない密猟のため今後も保護活動は続く

アフリカの野生に暮らすクロサイの生息数が数百頭ほど増加しているという明るいニュースがありました。

 

密猟によって絶滅寸前まで追い込まれてきた動物の保護活動が前向きな結果を出した良い例として受け止められています。

 

生息数は2012年の4,845頭から2018年には推定5,630頭と、6年間で年率2.5%の割合で増加しました。

 

現地の人たちによる保護・育成活動に加え、各国が法律を見直すことでクロサイたちの保護をより強化できたことも良い結果につながったと見られています。

 

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ミナミシロサイは密猟に苦しみ、キタシロサイは事実上絶滅

クロサイについてはこのように前向きな報道がありましたが、シロサイについては決して状況が改善しているというわけではないようです。

 

アフリカにはシロサイの亜種「ミナミシロサイ」も生息しており、生息数はクロサイに比べると多いことが分かっています。

 

しかしミナミシロサイもやはり国際自然保護連合(IUCN)によって「準絶滅危惧」に分類されています。

 

シロサイの生息数減少については、南アフリカ共和国などで密猟が多発していることがその最大の原因です。

 

クロサイに比べるとシロサイは角が大きいという特徴があります。 そのため角を切り取って売り飛ばす密猟者たちにとっては、シロサイのほうが “金になる代物” ということになります。

 

またシロサイは見通しのいい場所を生息地として好むため、遠くから見つけやすく、この点でも密猟者たちにとっては格好のターゲットになってしまうのです。

 

かつて21,000頭を超えていたミナミシロサイの生息数は、現在約18,000頭と言われています。

 

もう一つの亜種である「キタクロサイ」は、すでに野生には生存個体はいないため「野生絶滅」に分類されています。

 

生き残っているキタシロサイは2頭のメスだけなので、自然交配によって子孫が残される見込みはなく、事実上絶滅に追いやられているのです。

 

 

 

最悪のレベルからは改善か

密猟のレベルはここ数年で再び低下しているという報道もあります。

 

密猟が最悪の状態だった2015年には、毎日平均3.7頭のサイが殺されていました。

 

2019年では、裏社会で密猟を取り仕切っている犯罪組織に対して各国政府がより強力な対策を講じたことから、密猟はさらに減少していると考えられています。

 

しかし、あくまでも最悪の状態を脱したということに過ぎず、努力は続けられなくてはいけません。

 

ここでもコロナウイルス危機の影響が

コロナウイルス危機の影響は、世界各国の観光業に大きな打撃を与えていますが、アフリカ諸国も例外ではありません。

 

観光業からの収益が野生動物保護の資金源とされてきたアフリカ諸国では、今回のウイルス危機によって大きな資金不足に直面することは確実です。

 

資金不足が原因で保護活動が停滞したり、サイの保護・育成を行っている国立公園や動物保護区の運営に支障が出てくる可能性が高いと考えられるため、専門家や動物保護団体は大きな懸念を抱いています。

 

 

 

www.theguardian.com