コロナの影響で絶滅危惧種の密猟が増加 その理由とは?

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コロナパンデミックによって引き起こされた様々な混乱が原因となり、野生動物の違法取引が横行するようになり、密猟の急増を引き起こしてしまっている、という現状がイギリスの新聞「The Independent」紙で報道されていました。

 

www.independent.co.uk

 

今の私たちは自分の健康と生活を守ることで精いっぱいで、他の国で行われている密猟について注目する余裕などないというのが正直なところです。

 

しかし密猟がこれまで以上に横行しており、そのために罪もない動物たちが犠牲になっているということを忘れないためにも、この記事で報じられていることをご紹介します。

 

資金の減少や監視員不足が原因

野生動物保護活動は、現地の観光収入から成り立っているものがほとんどです。

 

しかしコロナパンデミックの影響でこの収入が突然途絶えたため、多くの保護プログラムが中止されてしまっています。

 

その結果、絶滅の危機に瀕した動物はこれまで以上にターゲットになりやすくなっているのです。

 

また世界各国でロックダウンによる外出規制が行われてきたことから、保護活動家や野生動物監視員たちも自由に行動できなくなりました。

 

これまで彼らが監視の目を光らせていた場所も、今では密猟者たちが自由に出入りできるようになってしまっているわけです。

 

密猟を行う大規模な組織、新たな密猟技術、そして違法貿易ルートの登場も指摘されています。

 

同時に、現在では日本を含めた世界各国でコロナ対策が全力で行われており、これがどうしても最優先課題にならざるを得ません。

 

そのため、密猟の急増が大きく懸念されているにもかかわらず、その全容を明らかにするためのデータ収集作業がなかなか進まない状態に陥っています。

 

 

 

中央アジアとアフリカで急増

インド、ネパール、パキスタン、そしてアフリカ諸国の一部では、いずれも密猟の急増が報告されています。

 

【インド】

非営利団体「ハビタッツ・トラスト」は野生動物取引監視組織「トラフィック」のレポートを参考に調べた結果、インドの一部地域では密猟が151%増加していると報告しています。

 

この調査によると、インドでの密猟はロックダウンが行われた最初の6週間で2倍以上に増加しており、その中にはヒョウ9頭の殺害も含まれているということです。

 

またインド北東部のカジランガ国立公園では1頭のサイが射殺されたことが報告されています。

 

【ネパール】

隣国のパキスタンとネパールでも密猟が急増しており、サガルマータ国立公園(ネパール)では6頭のジャコウジカの死体が発見されました。

 

【アフリカ諸国】

アフリカのボツワナでは3月以降、500頭のサイのうち10%が死滅した可能性があると報告されました。

 

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エチオピアではロックダウン中にゾウの密猟が急増し、5月にはわずか1日のうちに6頭が殺害されたこともありました。

 

アフリカ大陸最大の自然保護区のあるニジェールでは、40頭以上のドルカスガゼルが殺害されたと報じられています。

 

ウガンダにある国立公園では、ゾウが罠にかかって殺されているところが発見されています。

 

象牙のための罠でした。

 

同じくウガンダの別の公園では、今年3月から4月にかけて密猟者が仕掛けた罠が822個発見されています。

 

昨年の同時期には21個しか発見されていませんでした。

 

明らかに野生生物の違法取引に関与する犯罪ネットワークが存在し、彼らがコロナパンデミックの状況を悪用しているものと見られています。

 

※ここに太字で表記した動物たちはすべて絶滅危惧種に指定されている動物たちばかりです。

 

パンデミックの中でも密猟とたたかう人たち

日本にいる私たち個人々々が密猟を阻止するために直接できることは、現時点ではほとんどないかもしれません。 

 

しかし野生動物たちが暮らす森林公園などでは、ロックダウンなどの規制にもかかわらず、野生動物監視員が可能な限りのパトロールを勇敢に続けているところもあるのです。

 

このパンデミックの真っただ中でも密猟を阻止するために活動している人たちがいることも、やはり忘れてはいけないことだと思います。