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レッドリストで絶滅危惧種に指定されたキリン アメリカ国内でも絶滅危惧種指定に向けて声が高まる

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2016年12月、キリンが国際自然保護連合(IUCN)のレッドリスト絶滅危惧種として載ることになったというニュースがあり、このブログでも紹介しました(「親しみがある」≠「生息数が多い」 キリンという身近な動物が実は静かに絶滅に向かっているという皮肉)。

 

これとは別にアメリカ政府の「魚類野生生物局」(the US Fish and Wildlife Service)が策定する絶滅危惧種リストがあります。

 

現在複数の動物愛護団体が、キリンをアメリカ政府としても絶滅危惧種として正式に取り扱うよう求める運動を行っています。

 

 

【キリンの生息数減少】

このブログではしばしばゾウの生息数減少について取り上げてきました。

 

もちろんゾウが直面している問題はやり過ごすことのできない重大なものですが、実はアフリカに生息するゾウの頭数(415,000頭)よりもキリンの頭数(97,500頭)のほうが少ないという事実があります。

 

キリンが追い込まれている状況はそれほど危急である、ということを私たちは認識しておきたいと思います。

 

 

【密猟とトロフィーハンティング】 

キリンの生息数減少は、ほかの絶滅危惧種たちの場合と同じく、生息地域の縮小と密猟がそのおもな原因です。

 

キリンの場合はいわゆる「ブッシュミート」(食肉専用の家畜の肉ではなく、野生に生息する動物の肉を食べるもの)として闇市に出回っていることがわかっており、これが密猟を加速させているといわれています。

 

また大型動物の生息地に自動車が入り込むことで引き起こされる衝突事故や、背の高いキリンが電線に引っかかって感電死するなどの事故も多発しているようです。

 

これらの原因については2016年12月のIUCNのレッドリスト指定の段階で指摘されており、アフリカ現地での対策が促されてきました。

 

今回、アメリカであらためてキリンの絶滅危惧種指定が急がれているのは、キリンの生息数を減少させているもう一つの原因によるものです。

 

それは「トロフィーハンティング」のターゲットとしてキリンが頻繁に狙われているということです。

 

わざわざ野生動物を殺すという「遊び」のためにアフリカに渡るハンターたちのほとんどがアメリカ人であるため、アメリカ国内での絶滅危惧種指定が求められています。

 

魚類野生生物局に対する運動を行っている団体の提示したデータによると、この10年の間にキリンの骨を使った彫刻21,402件、キリンの毛皮3,008件、そのほかキリンの身体を使用した物品3,744件が、アメリカに持ち込まれています。

 

これらの「トロフィー」のためには、少なくとも3,700頭のキリンが殺害されてきたと推定されています。

 

この状況の中、アメリカ政府による絶滅危惧種の指定が行われればハンターたちに対して厳しい規制が敷かれると期待されています。

 

規制が施行されると、「トロフィーの持ち込み行為がキリンの生息数維持のために役に立つ」ことを証明できない限り、ハンターはキリンのトロフィーをアメリカ国内に持ち込むことが(少なくともルール上は)できなくなります。 

 

 

【キリンのいない地球】

キリンの生息数減少は、ゾウやサイの密猟被害のかげに隠れてあまり注目されてきませんでした。

 

またトロフィーハンティング自体はライオンの「セシル」殺害により2015年には注目されていましたが、そのターゲットとしてのキリンはなぜか見過ごされてきました。

 

しかし最近の調査活動により、キリンの生息数減少がようやく真剣に取り上げられるようになってきたのです。

  

キリンはいわば「野生動物の代名詞」といえるほど、多くの人たちに知られている動物だったはずです。

 

しかし生息数の極端な減少(1985年と比べて40%減)という最も重大な問題を、私たちは長いあいだ見逃していたことになります。

 

動物愛護団体からの訴えを受け、アメリカ政府は今後キリンの取り扱いについて協議を行うことになりますが、正式な決定が下されるまでは最長で1年以上かかるともいわれています。

 

取り組みはまだ始まったばかりです。

キリンのいない地球にさせないために、今後も注視し続けたいと思います。

 

 

 

www.theguardian.com