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「親しみがある」≠「生息数が多い」 キリンという身近な動物が実は静かに絶滅に向かっているという皮肉

キリン

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すでに日本でも多くのメディアで報道されているとおり、今度はキリンが国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで「絶滅危惧種」に指定されました。

 

レッドリストの「絶滅危惧」のうち「危急(vulnerable)」に指定されたということは、これから何らかの保護活動が行われない限り、野生に暮らすキリンが絶滅する可能性が高いことを表します。

 

この10年ほどの間、ゾウやサイなどの密猟・違法取引は大きく注目されてきましたが、キリンが直面してきた問題については残念ながら見過ごされてきたと言わざるを得ません。

 

IUCNの担当者も「サファリパークや動物園、またはメディアでもキリンは普通に見かけるため、動物愛護活動家たちも含め人々はこの動物が絶滅に向かって進んでいたことに気づかずにいた」と語っています。

 

 

【わずか400頭しか存在しない種も】

キリンの生息数は、1985年には157,000頭が確認されていましたが、31年後の今年は97,500頭となり、40%も減少しています。

 

レッドリストではキリンは9の亜種に分類されており、このうち5種については減少していることが確認されています。

 

一部、増加している種もいます。

 

「ナイジェリアキリン」はキリンの中でも最も小さな種類で、1990年代には50頭しか生息が確認されていませんでしたが、現在は400頭にまで増加しています。

 

これはアフリカのニジェール政府が環境保護団体と協力して行った大規模な活動の成果であり、素晴らしい成功ですが、それでもあの巨大なアフリカの地にわずか400頭しか存在していないのです。

 

キリンの保護活動を行っている団体は 「キリンの中には400頭にも及ばない種類もいます。これはゴリラなどどの大型動物よりも少ない数なのです」とその危機を訴えています。

 

 

【大きな原因はやはり密猟】 

生息数減少の原因は、ほかの動物たちを絶滅危惧に追いやった原因と同じです。

 

つまり、一つは都市部やその周辺の居住地がどんどん広がりキリンの生息地にまで入り込んでしまったこと、そして二つ目は密猟です。

 

とくに密猟は大きな問題となっています。

 

現地で食糧難に苦しむ村民がキリンを殺し、食肉にするというレポートも一部では発表されています。

 

また、キリンの長い尾を目当てに密猟をする人たちもいるのです。

 

現地の文化ではキリンの尾はステイタスを表すシンボルと見られており、新郎が結婚を申し込む際に新婦の両親へ贈るプレゼントとして伝統的に使われているそうです。

 

 

【現地経済の発展が生息地の広さと反比例】 

また、人の活動がキリンの生息地に入り込んでしまうという事象も当然のことながら無視できる問題ではありません。

 

密猟についてはそれを阻止するための積極的な活動や資金集めが行われており、一部の動物については限定的ながら効果をあげています。

 

しかし都市部の拡大や居住地の広がりを止めるのは極端に難しいことです。

 

土地や鉱山の開発、その他の経済活動、そして現地住民の生活を阻害することにつながるからです。

 

 

【最大の問題は注目度の低さ】 

しかし今回のレッドリストでのステータス変更ではっきりしたのは、キリンの生息数に対する注目度の低さが実は最大の問題である、ということです。

 

ある専門家はこう語っています。

 

「親しみのある動物については、私たちは勝手に「問題ない」と思い込んでしまう傾向があります。確かにキリンなどは動物園に行くと当たり前のように見ることができますから」

 

最も親しまれている動物といっていいキリンは、実は過去100年の間に少しずつ減少してきていました。

 

そして、かつてキリンが元気に暮らしていたセネガル、ナイジェリア、モーリタニア、マラウィ、ギニア、エリトリアブルキナファソの7か国には、今はキリンは一頭もいなくなってしまったのです。

 

すでに絶滅危惧種に指定されている動物ですら救うことができないまま、私たちはさらに別の動物まで絶滅の危機に追いやってしまったのです。

 

今後このブログでも注意深く追ってゆきたいと思います。

 

   

 

www.smithsonianmag.com