韓国最大の食用犬市場が「閉鎖」 それでも犬食は続けられる
韓国の城南(ソンナム)市にあるモラン市場は、毎年8万頭の犬を売りさばく韓国最大の犬肉市場です。
売られる犬は生きたままの場合もあれば、殺害して加工したものが売られていることもあります。
韓国全土で消費されている食用犬の約3分の1がこの市場で取引されているといわれています。
【ようやく実現する市場の「閉鎖」】
2017年2月に入り、政府の職員や業者たちがこの市場から肉の処理機材や犬が入れられていたカゴの撤去を開始しています。
モラン市場については、動物愛護団体が犬たちの保管されている状態のひどさを告発し、また食用目的で殺害するその方法が残酷であると訴えたことが発端となり、閉鎖が検討されてきました。
犬たちは感電、絞首、殴打など、明らかな残虐行為によって殺害されています。
また市場の周囲には汚臭や騒音が広まり、周辺住民からの苦情が絶えなかったといいます。
この市場については、2016年12月にいったん「閉鎖決定」ということで合意に至り、この市場で取引をしていた22の業者も撤退を受け入れていました。
その後業者たちは閉鎖反対に転じ、業務終了によって自分たちが被る損失の補償を求め始めたため、計画倒れになる可能性もありました。
しかし今回の機材撤去により、市場そのものは閉鎖されることになります。
【それでも続けられる犬肉の売買】
その一方で城南市の行政担当者は、今までモラン市場で取引をしていた業者たちが新しい商売を始められるよう財政面での支援を行うと語っています。
行政の目的としてはあくまで青空市場で行われていた犬の殺害・売買をやめさせることであって、業者たちの権利をはく奪することまでは行わない模様です。
設備がほかの場所で新たに用意され、犬食のための肉販売は今後も続けられると見られます。
犬肉販売者たちはこれまでも、いわゆる法律のグレーゾーンをうまく利用してきました。
犬の殺害や販売は家畜衛生法の適用外であるため、当局からの規制にも限界があったのです。
しかし動物愛護団体は、業者たちの行為が屋外での残虐な動物殺害を禁じる動物保護法に抵触している、と訴えてきました。
モラン市場で犬肉を買うお客さんは、その場で生きた犬が殺され、皮をはがれ、ぶつ切りにされるのを見て買っていくそうです。
もっとも、犬の肉を日常の食卓に上げているのは韓国でもごくわずかの人たちであると言われています。
その一方で、多くのレストランや健康食販売店では犬肉を売り続けており、スープやシチューなどにして売っているところもあるそうです。
【冬季オリンピックを目前にした一時的な批判逃れ?】
こういった韓国の食文化に対しては、とくに2002年に日本と共同開催されたサッカーワールドカップのときに海外からも注目され、国際的な批判が高まりました。
それから15年たった今でも相変わらず続く犬食に対して、批判は続けられています。
来年2018年に平昌(ピョンチャン)で開催される冬季オリンピックのボイコットを訴える人たちも出てきています。
今回のモラン市場の閉鎖は、こういった批判を一時的にかわすために行われているものに過ぎないのかもしれません。