パグの「レントゲン写真」から見えてくるこの種の犬が抱える身体問題

2019年の年末ちかく、日本でも「パグのレントゲン写真」がツイッターで話題になりました。

 

 

その強烈な見た目にネット上も「怖い」という声と「かわいい」という声で別れたようですが、概して「面白い写真」としてシェアされたようです。

 

しかしこの写真はパグという犬が抱える身体的な問題を表している、とある獣医学の専門家が指摘しています。

 

 

 

正面からのレントゲンではなく頭部のMRIによる「輪切り」

これはもとは海外から投稿された写真で、そこでも13万を超えるイイネを獲得するほどの人気でした。

 

 

やはり多くのコメントが「かわいい」「面白い」などその見た目に対する反応だったようです。

 

しかし専門家によれば、これはレントゲン写真(X-ray)ではなく、MRIによるスキャンであるとのこと。

 

MRIは人間ドックなどでも使われているのでご存じの方も多いと思いますが、体の一部分を "輪切り" にするように捉える写真です。

 

英ロンドンの獣医師カウラム氏は「もしパグ犬の頭部をかたどったケーキがあって、それを真ん中で切ってみると、この写真のように見えるでしょう」と説明しています。

 

「犬の目のところでスライスすると、ちょうどこの写真のようになります。頭部の先端から2~3インチ(約5~7.6㎝)奥のあたりです」。

 

私たち素人がこの写真を見ても、パグの飛び出した目玉とつぶれた鼻が何となく分かるものですが、実はこの見た目は長年にわたるブリーディングの結果生まれたもので、自然とはかけ離れた特徴なのです。

 

人が愛着を覚えやすい顔にブリーディングされた結果

もともと犬はオオカミの親せきですから、目から鼻先にかけて突き出た顔をしています。

 

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これがオオカミや犬といった動物たちの通常の顔(頭部)であり、それとはあきらかに異なるパグの顔は自然の進化の結果ではないのです。

 

 
 
 
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これは「短頭症(brachycephalism)」と呼ばれるもので、一種の病状であるとみなされています。

 

ほかにもフレンチブルドッグシーズーといった種類の犬もこの症状を抱えていると考えられます。

 

私たち人は動物を見るとき、その顔のつくりが人の顔に近ければ近いほどその動物に親近感を覚える、という傾向があります。

 

オオカミのように鼻が突きでている顔よりも、パグやブルドッグのように目の下に鼻がある顔のほうが人は自然と愛着を覚えるものなのです。

 

子犬を大量に「生産」してそれをペットショップに売り飛ばす人たちにとって、どちらがよりいい商売になるか、分かりきったことです。

 

しかしこれは病状であるため、最終的には犬が苦しまなくてはいけないという結果になります。

 

短頭症の犬の抱える症状は複数に及びますが、その中でも主に呼吸困難と脊椎の障害が報告されています。

 

普通の犬に比べて鼻腔が短いため、呼吸機能が十分に働かない場合が多く、その結果あえて力を出さないと息を吐き出すことができない、体の体温を下げることができないなど、本来備わっている体の機能そのものに大きな影響を与えてしまっています。

 

最悪の場合は心臓発作を引き起こしてしまう可能性もあるのです。

 

パグを飼い始める前に

パグの人気はここ数年爆発的に広がりました。

 

その一方で、パグが潜在的に抱えるこうした身体的な問題はほとんど知られていないのが現状です。

 

上述のカウラム医師は、パグやブルドッグなどを飼おうと考えている人たちにはまず考え直すことを強く勧めたい、と述べています。

 

それでも、もし本気で飼育するつもりがあるのであれば、まずはその犬のブリーダーをしっかり調査することを求めています。

 

専門のブリーダーのすべてが無責任な人たちなのではありません。

 

なかにはこうした犬の抱える健康問題に対して意識の高いブリーダーもいて、その改善に向けたブリーディングを続けてきた人もいるそうです。

 

しかしながら、多くのブリーダーたちがどうしてもビジネス重視のブリーディングに走りがちで、結果として売り買いされる犬のほうが犠牲になる、という悪循環がいつまでも続いています。

 

安易にパグなどをペットとして購入することは、たとえ無意識であっても、こうした悪循環に加担してしまうことになります。

 

また今現在パグを飼っている人たちは、将来パグが健康問題を抱えることがあっても決して見捨てることなく、最後まで面倒を見続けてあげて欲しいと思います。

 

 

 

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