イギリスでもサーカスでの動物利用を禁止へ すでに40か国以上で実現

 

 

イギリス政府は2020年1月までにサーカスでの動物の利用を禁止するという意向を明らかにしました。

 

イギリスにはご存知の通りイングランドウェールズスコットランド北アイルランドの4つの地域(国)が存在します。

 

このうちスコットランドはすでに2017年にサーカスの動物利用禁止を決定し、またウェールズも同じ禁止令を導入することを決めています。 またもっと小さな地方公共団体のレベルでも、動物によるサーカスを禁止する権限を持っているところはたくさんあります。

 

しかし今回はイギリス全体でこの方針を決定することになりました。

 

2017年はイギリスでサーカスが始められてから250年の節目の年でした。 その翌年になって、ようやく前向きな方針が打ち出されたことになるのです。

 

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ゾウやライオン、トラやクマなどが芸をするところを見に行くのは、かつてはイギリスの家庭がたのしむ一般的なレジャーのひとつでした。

 

しかしこうした動物たちがどのように扱われているのか、その状況が様々な形で報じられ始めると、その非人道的な扱いに対する批判がどんどんと高まってきました。

 

 

【虐待から救出されたゾウのアンヌ】

2011年、アンヌと名付けられたゾウが世界的に知られることになりました。

 

アンヌは「ボビー・ロバーツ・スーパー・サーカス」という団体に連れまわされていたゾウです。

 

その年の始めごろ、サーカス団が冬のあいだ過ごしている施設内に、動物愛護団体「アニマル・ディフェンダーズ」が入り込み、監視カメラを取り付けることに成功しました。

 

その後25日間にわたって撮影された映像には、飼育係がアンヌの脚を蹴ったり、ピッチフォーク(干し草をかき集めるフォーク型の農具)で殴ったり、さらにはこのサーカスのオーナー本人がアンヌの鼻を蹴飛ばすといった惨たらしい様子が映っていたのです。

 

 

この映像はネットを通して世界中に広まり、サーカス団に対する批判とともにアンヌの救出を求める声がどんどんと高まりました。

 

救出キャンペーンが成功し、2012年にようやくこのサーカスから救い出されたアンヌは、イギリス国内にあるロングリート・サファリパークに移されました。

 

現在60歳を超えたアンヌは関節炎に苦しんでいますが、設備の整った場所で安全に暮らしているということです。

 

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【ライセンス制から全面禁止へ】

ある調査によると、94.5%の人々がサーカスでの動物の利用禁止に賛成であるという回答が出ています。

 

しかしデヴィッド・キャメロンが首相だった2012年には、多くの国会議員が賛成の意向を示していたにもかかわらず全面禁止には至らず、動物利用のための許可を必要とする「ライセンス制」に変更されるにとどまりました。

 

また数こそ少ないものの、今でもサーカスのために動物たちをイギリスへ輸入することが可能な状態です。

 

しかしようやく今回、全面禁止への目途が立ったことになります。

 

今後2年間にわたり、新しいライセンスは発行されなくなります。 そして遅くとも2年後には、現在発効しているライセンスもすべて無効になる予定です。

 

 

【40か国以上で禁止されてきた動物サーカス】

確かにアンヌの場合のような明らかな暴力行為は極端な例かも知れません。

 

しかし、動物に対する直接的な暴力行為だけが問題なのではありません。サーカスで動物を利用すること自体が動物虐待になってしまう可能性が十分にあるのです。

 

巡業をするサーカス団が動物を連れまわし、お客さんの前でパフォーマンスをさせるのは動物たちの健康に大きな害がある、ということは今までも常々言われ続けてきました。

 

ペットとして人といっしょに暮らす動物ではなく、本来ならば野生で暮らしているはずの動物たちをサーカス団が適切に世話できないということは、以前から指摘されていたことです。

 

野生動物を人の手で飼育すること自体がもともと不自然なことなのです。 加えて、動物たちは狭い檻の中に押し込められ、その状態のまま長い移動に耐えることを強要されてきました。

 

さらには鞭で打たれながら、自然界ではありえないような体の動きを「訓練」と称して毎日やらされてきたのです。

 

上記の通り2017年にスコットランドがサーカスでの動物利用禁止を決定しましたが、これは決して画期的なことではありませんでした。

 

すでにこれまでもヨーロッパの多くの国々、中南米各国、そしてアジアのいくつかの国々など、世界中で40か国以上が同様の禁止令を出しています。

 

なお日本はこの中に含まれていません。今でもサーカスで動物たちを使うことが許されている国なのです。

 

 

 

(出典)

Wild animals to be banned from circuses by 2020 | Daily Mail Online

How Anne the circus elephant found herself in the spotlight | World news | The Guardian