今度はオランダの毛皮農場でミンクがコロナに感染 毛皮産業の見直しを求める声高まる

f:id:georgekato:20200509193357j:plain

 

2020年4月末、オランダのミンク毛皮農場で育てられていたミンクが新型コロナウイルスに感染したことが確認された、というニュースがありました。

 

www.afpbb.com

これはオランダの2つの毛皮農場で確認されたことで、その直後から農場は封鎖されています。

 

ミンクやフェレットといった動物については、呼吸困難の兆候を示した後に検査をしていましたが、今回感染が発覚したミンクについては、ウイルスを持っていた農場従業員から感染したものと考えられています。

 

動物から感染した人が、別の動物に感染させたか?

新型コロナウイルスの発生源についてはいろいろな説が出されており、現時点ではその特定はできていません。

 

もし野生動物から人間にうつったという説が正しいのであれば、コウモリから感染したセンザンコウが中国の動物食肉市場で販売され、それを手にした人が感染したというのが有力とされています。

 

また2002~2003年にかけて発生したSARSの病原体も、コウモリからハクビシンを経て人が感染したというのが有力な説だと考えられています。

 

一方、人から動物への感染例についてはすでにペットである犬や猫などの感染が確認されています。

 

これらの例もおそらく飼い主から感染したものと見られていますが、その逆の可能性、つまりペットがどこかで新型コロナウイルスに感染し、それが飼い主にうつった可能性も否定できません。

 

また、人から大型類人猿への感染の恐れについて専門家が指摘しており、これについてはこのブログでも「犬や猫だけではない 類人猿もコロナと無関係ではないという専門家の指摘」で紹介しています。

 

animallover.hatenablog.com

 

 

 

感染を広めてしまう毛皮農場の管理体制

さらに今回は、毛皮用に農場で飼育されていたミンクにも感染が確認されたことで、人間にもたらすリスクとミンク自身に与える害の両方の観点から、新たな警告が発せられています。

 

毛皮目的で養殖されているのはミンクだけではありません。

 

キツネやタヌキ、チンチラ、ウサギなども同様に農場がつくられ、最終的には殺して毛皮をはぎ取ることだけを目的に育てられています。

 

毛皮だけが目的のため、1頭1頭の健康については事実上全く注意を払われていません。

 

毛皮さえきれいに残ってくれれば、売り物になるからです。

 

そのため衛生面に注意が払われた管理はされておらず、ウイルスなどが入り込んだ場合には感染が拡大するリスクがかなり高まるものと考えられます。

 

またこうした毛皮農場では、極端に狭いケージの中に何頭もの動物が押し込められているところも少なくありません。

 

f:id:georgekato:20200509194738j:plain

 

どの動物にも自分の縄張りを守る本能があり、それが侵された場合には相手を攻撃することも珍しくありません。

 

そのために、ケージの中に閉じ込められた動物同士が噛みつき合いを始めることもあり、ケガをした動物たちがストレスを抱えたまま閉じ込められている、という残酷な状態も報告されています。

 

毛皮産業そのものの見直しへ声が高まる

今回のニュースではオランダの毛皮農場での感染確認が報じられているわけですが、オランダでは2013年にミンク農場の新たな設立が禁止されており、既存の毛皮農場も2024年までに閉鎖することが決められています。

 

オランダという国に問題があると考えるよりも、このように全面閉鎖に向けて動いている国ですら動物たちに新型コロナウイルスの影響が及んでしまうと考えることが必要なようです。

 

中国工学院が2016年に発表した報告書によると、中国の野生動物取引の75%は毛皮生産が占めており、タヌキやキツネ、ミンクなどの動物がその犠牲になっているということです。

 

動物愛護団体では、今回のミンクの感染をきっかけに、毛皮産業そのものが大きく見直されるよう訴えています。

 

 

 

www.independent.co.uk