カカポ(フクロウオウム) 疫病に襲われる絶滅危惧種とニュージーランドの保護活動

ニュージーランドに生息する「フクロウオウム」は「カカポ(kākāpō)」とも呼ばれ、羽はありますが飛ぶことが出来ない鳥です。

 

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オウムの中でも飛ぶことが出来ないのはこのカカポだけです。下の動画をみると、羽を広げながらスキップをするように地上を走っていくのが分かります。

 

   

 

カカポのオスは約2.2kgにまで成長する大型の鳥で、「the world’s fattest species of parrot」(世界でもっとも太っているオウム)などと紹介されることもしばしばあるようです。

 

【成長142羽だけの絶滅危惧種

数百年前までは、ニュージーランド全島に多数のカカポが見られたと言われています。

 

しかし生息地の減少や害虫の繁殖により、この鳥は現在絶滅の危機に瀕しています。

 

1970年代、カカポの生息数減少があらためて確認され、そこから保護活動が熱心に始められました。

 

1977年には18羽しか確認されないという危機的な状況でしたが、これを境に少しずつ生息数が増えていきました。しかし1990年代半ばになってもようやく50羽に届く程度でした。

 

その後もほんのわずかながら増えてきていますが、きびしい状況は21世紀になっても変わりません。

 

現在カカポは成鳥が142羽、ヒナが72羽確認されています。

 

【呼吸器系を襲う疫病】

しかし、最近になってまた別の大きな問題が出てきました。

 

この数か月でカカポの7羽が死亡しており、その死因はすべて感染症の一種「アスペルギルス症 」という呼吸器系の病気だったのです。

 

もっとも近い例では、オークランド動物園で飼育されていた生後100日のヒナが死亡しています。

 

このヒナは「ノラ」と名付けられていました。 疫病のせいで肺の感染症がひどくなり、呼吸器が機能しなくなっていました。 最後の手段として手術によって呼吸を確保できるよう試みられましたが、そうした努力もむなしく死亡しました。

 

カカポの将来はきわどい状態が続いている、と専門家は語っています。

 

2019年4月下旬、この疫病に感染したカカポが初めて確認されました。 それ以降、36羽で感染が確認されており、これは現存するカカポの総数の5分の1に迫る数になります。

 

現在生息が確認されているものはすべて天敵のいない島に暮らしており、その点については安心といえそうです。

 

しかしさらに疫病がまん延すると、最悪の場合すべてが死に絶えてしまうこともありうるそうです。

 

   

  

【国をあげて取り組む保護活動】

現在、ニュージーランドは国をあげてこの鳥の保護に全力を注いでいます。

 

治療はもちろんのこと、感染の発見もきわめて難しい病気であるため、ニュージーランドの自然保護局ではカカポをヘリコプターでニュージーランド本島に運び、CTスキャンを行って感染の有無をチェックしてきました。 感染が確認された場合は動物病院に隔離され、数か月間にわたる集中治療が施されています。

 

ニュージーランドの自然保護局も「カカポには緊急の対応が必要だ」という声明を発表しました。

 

カカポの保護活動を支援する動きも活発で、すでに10万ニュージーランドドルが寄付され、感染した鳥の治療に充てられてきました。 この寄付金の半分は、ニュージーランド国外からの寄付によるものでした。

 

現在142羽いる成鳥ですが、少なくとも500羽にならないと危機的状況を脱したとは言えないだろう、とある専門家は述べています。

 

そのためには、現在カカポたちを苦しめている疫病に打ち勝たなくてはいけないのです。

 

このブログでカカポを取り上げるのは初めてですが、今回調べてみていろいろと興味深いことが分かってきました。これからも機会をみてカカポの状況をアップデートしていければと思っています。

 

そして何よりも、カカポとその保護活動に勤しむニュージーランドの人たちの健闘をお祈りしています。

 

 

 

出典:

World’s fattest parrot, the endangered kākāpō, could be wiped out by fungal infection

Critically endangered kākāpō – the world's fattest parrot – has record breeding season