ゾウの密猟は遠いアフリカの話なのか?
2月3日の朝日新聞デジタルに、「ゾウ、密猟絶てず激減 ヘリで群れ探し、残らず射殺」と題された記事が載っていました。
ご覧になった方もいると思いますが、以下内容を要約しておきます。
►アフリカのモザンビークではゾウの密猟が絶えないため、ゾウの生息数が激減している。
モザンビーク国内のゾウは、5年間で20,000頭から10,300頭に減少。
とくに同国北部にあるキリンバス国立公園全体では、2008年の2,000頭から2014年には790頭まで減少している。
►キリンバス国立公園でゾウの密猟がひどくなったのは2012年以降。
南アフリカのテレビ局が「モザンビーク北部はゾウの楽園だ」と放送した直後から、密猟者が押し寄せてくるようになった。
►密猟は組織的に行われている。
上空からゾウの居場所を特定し、密猟者がバイクで現場に急行、銃で群れを皆殺しにする。
その後象牙は四輪駆動車でタンザニアに運ばれているとみられている。
►キリンバス国立公園内にはフェンスなどは見られず、入り口に係員もいない。
警察や国境警備隊は密猟者から賄賂をもらい、密猟や象牙の密輸を黙認している。
なかには自分の銃を貸し出して、裏金を受け取っている者もいる。
またタンザニアでも密猟が頻繁に行われており、ゾウの生息数は過去5年間で109,000頭から43,000頭へ減少している、ということです。
【ゾウの密猟は海の向こうの話なのか?】
現在のゾウ密猟問題は、アフリカと中国との間で行われているとされる象牙の密輸が主な原因です。
すでに確立した密輸ルートがあるといわれており、2015年にはそういった密輸組織の重要人物が逮捕されたというニュースもありました。
(「象牙の女王」などと呼ばれていたヤン・フェン・グラン容疑者(中央))
しかし象牙の需要がゾウの減少をもたらしたという事象については、日本が無関係なわけではありません。
正式な書類には印鑑を欠かせない日本では、印章用に多くの象牙が輸入されてきたという過去があります。
1960年代から80年代にかけて日本は大きく経済成長を遂げ、一般市民も高級品を使用するようになりました。
それまでは木製のハンコを使用していた人たちも、徐々に象牙のハンコを使うようになったのです。
1980年代の10年間で、アフリカにおけるゾウの生息数は、130万頭から60万頭まで激減しています。
この激減の、少なくとも一部については、ジャパン・マネーで象牙を買いあさった日本の責任であるといわれています。
ゾウの密猟は遠い海外の話のように感じますが、かつてバブルに浮かれていた日本が原因となって多くのゾウが殺されていたことも、日本人として知っておきたいものです。