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「世界一悲しいホッキョクグマ」 中国のショッピングセンターから自然の海へ帰ることが決定

 

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中国南部の広州市にあるショッピングセンターには、動物園が併設されています。

 

この動物園にはホッキョクギツネ、オオカミ、セイウチ、シロイルカなど500種類の動物がそれぞれ小さい部屋に閉じ込められていますが、各部屋には窓もなく、木を植えるなど自然環境に近づける工夫もされていません。

 

この動物園で飼育・展示されているホッキョクグマの「ピザ」は、次から次へと訪れる買い物客たちの目にさらされ、カメラを向けられる毎日が続いていました。

 

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この惨状がネットでシェアされ、その様子を見た人たちから「世界でもっと悲しいホッキョクグマ」と呼ばれていました。

 

これまでピザは面積約40平方メートルのガラス張りの部屋に閉じ込められていました。

 

ガラスの向こうではいつも買い物客が取り囲み、カメラを向けているのです。

 

一日に数千人がピザのガラス張りの部屋の周りを歩き回ると見られています。

 

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時にはピザは地べたに寝転がり、通気口に顔を近づけて新鮮な空気を一生懸命吸っているようなしぐさも見せたりします。

 

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ピザは頭を揺らしたり、同じ場所を何度も行ったり来たりするという行動が目立っていました。

 

このような行動はフラストレーションがたまっており、また世話が手抜きである証拠だ、と専門家が指摘しています。

 

ピザの飼育環境は、ホッキョクグマに必要な自然からは完全に切り離されている状態になっており、何かの対策を取らないとピザの精神状態は悪化の一歩をたどってゆくしかない、と専門家は忠告していました。

 

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以前イギリスの「ヨークシャー野生公園」が、ピザを引き取ることを申し出たことがありましたが、ショッピングモール側は「外国が口出してくるな」とこのオファーを突っぱねていました。

 

しかしネットで広くシェアされ批判の声が大きくなったことが契機となり、100万を超える人たちの署名が集められ、ピザの解放をショッピングセンターに訴えることになったのです。

 

そしてようやくピザは生まれ故郷の海に戻されることになりました。

 

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またこの署名には、中国国内の50の動物愛護団体が署名した手紙がつけられていました。

 

この手紙は広州市の市長にあてられたもので、動物愛護団体はこの動物園の飼育状況を批判し、ピザのみならずほかの動物も自然に戻して動物園そのものを閉園させることを訴えています。

 

動物愛護団体は今回のピザについての決断を歓迎している一方、いったん海に戻されたピザを動物園が再び連れ戻したりすることがないか懸念しています。

 

 

【中国のショッピングセンターで虐待される動物たち】

この10年間、中国ではいわゆる大型ショッピングモールの建設が都市部のいたるところで進められてきました。

 

しかし同時に中国ではインターネットも普及しネットショッピングが台頭してきたため、ショッピングモールの営業成績は下り坂になっています。

 

そんな状況をなんとか打開しようと、ショッピングモールの経営者たちは様々な手を尽くして客に集まってもらおうと必死です。

 

その中でもこの動物園を併設するというやり方が有効な「客引き方法」の一つとして用いられているのです。

 

携帯電話売り場にゾウを連れ込んで客引きに使っているショッピングセンターがあったり、75ドル相当以上の買い物をした客にはアシカと遊べるというキャンペーンを催しているところがあったりと、動物愛護の観点からは到底受け入れられない活動がいたるところで行われているという報告もあります。

 

 

   

 

【動物保護の法整備が遅れている中国】

中国には長らく動物保護法にあたるものが存在しませんでした。

 

1989年にようやく動物保護法が制定されましたが、それまでは人が動物を好き勝手に扱っても違法行為にはならない状態が続いていたのです。

 

またこの現行の法律でも野生動物を展示したりパフォーマンスさせたりすることは禁じられておらず、動物愛護の法整備には大きな遅れがあります。

 

その一方で、今回のピザの自然への解放は中国国内の動物愛護団体の署名活動によって実現しています。

 

たとえ法律がなくても、このような動物愛護活動が意識の高い一部の人々によって自発的に行われたのは喜ばしいことだと思います。

 

(参考)

World's saddest polar bear removed from shopping centre in China | Metro News

The ‘Saddest’ Polar Bear Lives in a Mall in China