犬のようで犬ではない「ディンゴ」ってどんな動物?

先日、この「ディンゴ」という動物がオーストラリアの民家の裏庭で発見され、一部で話題になりました。

 

 

私も初めて耳にした動物で、やはりふつうの犬にしか見えないのですが、犬とは違う独立したひとつの種だそうです。

 

この機会にあらためて勉強してみようと思います。

 

オーストラリアに4000年前から生息

ディンゴ(dingo)」はオーストラリアの固有種であると思われがちですが、実は4000年前にアジアから連れてこられてオーストラリアに住みついたものであるというのが有力な説です。

 

南アジアに生息していたタイリクオオカミが先祖といわれていますので、そういう意味では犬と同じ祖先の動物だと考えられます。

 

写真や映像で見ただけではよく分かりませんが、犬に比べると犬歯が長く、鼻から口にかけての部分がやはり犬よりも細長いという外見の特徴があります。

 

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オーストラリア最大の野生の肉食哺乳動物

体長は80~120cmですので、犬と比べて格段に大型というわけではありませんが、オーストラリアの野生で生息する肉食の哺乳動物の中ではもっとも体が大きい動物です。

 

ディンゴの主食はウサギ、カンガルー、ワラビー、ウォンバットなどですが、近くに野生動物がいないときは酪農場などにあらわれて家畜を襲うこともあり、現地の人たちにとっては大きな問題となっています。

 

上記のような動物たちが見つからないときは、爬虫類や鳥類、昆虫を食べることもあるそうです。

 

夜行性で、基本的に群れでは行動しませんが、自分よりも体の大きい動物を狙うときは群れをなして襲い掛かります。

 

 

 

フクロオオカミとの奇妙な因縁

ディンゴタスマニア島をのぞくオーストラリア全土の、主に森林や草原で暮らしています。

 

一方で、フクロオオカミ(別名タスマニア・タイガー)はタスマニア島だけに生息していた動物です。

 

このフクロオオカミはかつてオーストラリア本土にも多く生息していましたが、エサとして狙う獲物がディンゴと同じだったせいで競争になっていました。

 

結果としてディンゴには勝てず、ディンゴの生息していないタスマニア島だけで生き残ることになってしまった、と考えられています。

 

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フクロオオカミは1936年に絶滅。

 

飼い犬との雑種が増加 純血種が激減

上記のように、ディンゴはオーストラリアに4000年前から暮らしていることが分かっており、この国の生態系の変化にも比較的柔軟に適合してきたと見られています。

 

オーストラリアには野生のウサギやイノシシなどがたくさん生息しており、こうした草食動物は農作物を食べてしまうため農家にとっては悩みの種です。

 

しかしディンゴはウサギなどを獲物として食べてくれるため、農家にとっては重要な存在であると見られてきました。

 

その一方で酪農業にとっては、家畜を襲ってしまうことも多いディンゴのほうが悩みの種だったのです。

 

酪農家たちは長年かけてディンゴを駆除しようと知恵を絞ってきましたが、ディンゴの生息数を減少させてはいるものの、完全駆除はしていません。

 

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現在では、酪農業者による駆除よりも家庭で飼育されている犬との接触が問題になる場合が多いようです。

 

オーストラリアという国では、もともと海に近いところに人が多く集まる傾向がありました。

 

しかし近年になって住宅地が少しずつ内陸の方に広がってゆき、ディンゴが生息している地域の近くで人が家を建てて暮らすようになりました。

 

その結果、人といっしょに暮らしている飼い犬が野生のディンゴ接触することが多くなり、犬とディンゴの雑種が多く生まれてしまうという事態になっているのです。

 

現在ではディンゴの純血種は激減していると見られています。

 

冒頭で紹介した民家の裏庭で発見されたディンゴは、DNAテストによって純血種であることが判明したためなおさら注目を集めたという経緯があったのです。

 

 

 

出典:

Dingo - The Australian Museum

子犬と思いきやディンゴ! 珍しい純血種見つかる 豪 写真4枚 国際ニュース:AFPBB News