アマゾン大火災 ジャガー500頭が「生息地を失う」か「死亡」 今後増える可能性も
現在でも延焼が続いているアマゾンの森林火災ですが、この害を被っているジャガーの頭数が500頭に上るという推計が出されました。
ネコ科の野生動物の保護を行っている団体「Panthera」が発表したもので、当初の推計はブラジルだけで100頭のジャガーが被害に遭っているというものでした。
しかし新たに出された推計では、ブラジルとボリビアの両方で500頭が生息地を失ったか死亡した、と大幅な修正となったのです。
「雨が降り始めるまでこの数字は上昇する可能性が高い」とも語っています。
アマゾンの熱帯雨林では100㎢あたり2.5頭のジャガーが暮らしていると見積もられており、この生息分布とこれまでの焼失面積を用いて算出したのが今回の推計です。
今年の大火災に加え、これまでの森林伐採などの影響も含めると、現在ジャガーが生息できる地域は約40%も減少していることが分かっています。
エサ不足とそこから発生する諸問題
火災から生き残ったジャガーたちも、今後生き延びてゆくにあたって困難に直面することは間違いありません。
命を落としたのはジャガーだけでなく、他の動物たちも同じです。 つまりジャガーにとってエサとなる獲物たちも大きく数を減らしています。
とくに夜行性で動きの遅い動物たちがジャガーの獲物になる可能性が高いのですが、これらの動物は火災から逃げるのも得意ではありません。
またこうした動物たちは人間による狩猟のターゲットにもなりやすいため、もともと生息数を減らしています。
こうした状況から、生き残ったジャガーやその他のネコ科の動物たちのあいだで獲物の取り合いになる可能性が高くなると考えられています。
また、獲物がとれなくなったジャガーは人の暮らす場所まで現れてエサ探しをすることもあります。
これまでもジャガーが酪農家の家畜を襲ってしまい、酪農家はこれを防ぐためにジャガーを発見するとすぐに射殺してしまう、という事例が何度も起こっていました。
世界最大の湿地帯
もちろん危険にさらされているのはジャガーばかりではありません。
アマゾンはジャガーを含むネコ科の動物たちの多くが暮らしており、例えばボリビア国内だけでもピューマ、オセロット、マーゲイ、ジャガランディなど8種類のネコ科の動物が暮らしています。
(マーゲイ)
ネコ科の動物だけではありません。 地球上の全生物の10%がこのアマゾンに生息しており、世界でもっとも豊かな生態系であることはよく知られています。
大火災の延焼のスピードがあまりにも早いため、保護活動の細かい計画を立てることが出来ない状態が続いており、このまま火災が続けば当然アマゾンに暮らすすべての生物が大きな影響を受けてしまうのです。
今でもアマゾンの大火災は続いています。
日本ではまるで終わったことであるかのごとくほとんど報道されなくなり、話題に上がることもなくなってしまったようですが、今でも苦しんでいる、そしてこれからまた厳しい生活の続く動物たちがたくさんいることを、忘れずにいたいと思います。