ウミガメの保護活動をトルコの海岸で30年以上続けている96歳の女性

 

イギリス人のジューン・ハイモフさんがトルコの南海岸で初めてアカウミガメと出会ったのは、すでに30年以上も前のことです。

 

海岸沿いを歩いていたジューンさんは、ウミガメの産卵の場面に出くわしました。

 

このアカウミガメとの偶然の出会いが、その後のジューンさんの人生と、その海岸の将来を変えることになったのです。

 

 

 

1980年代にはこの海岸沿いに家を建て、ウミガメたちの保護活動を始めました。

 

それから30年以上たった現在、ジューンさんは95歳です(2018年10月の記事で95歳と紹介されていますが、 1922年12月22日生まれのようなので現在すでに96歳と思われます)。

 

今でも海岸を見下ろす小屋で暮らし、ウミガメたちが暮らすこの砂浜を開発業者たちの手から守るための運動を続けています。

 

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「初めてウミガメが産卵しているのを発見したとき、私は動かずにじっと見つめていました。私の目は涙で一杯になってきました」

 

「その日以来、私はウミガメたちに関するどんな情報でもできる限り集めるようになったのです」。

 

ウミガメの直面している危機というのは産卵場所の破壊だけではありません。

 

脚漕ぎボートのプロペラに絡まってしまう、漁業網に引っかかってしまう、小さなプラスチック片を飲み込んでしまうなど、数多くの事故の危険があります。

 

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これらは「事故」とはいっても自然の事故ではなく、すべて人の活動にウミガメが巻き込まれてしまうことが原因となって起こっているものです。

 

【赤ちゃんウミガメ】

2018年9月、オーストラリア東部に生息するウミガメについての研究結果が発表されました。 死亡したウミガメ1,000匹を対象に行われた大規模な調査でした。

 

このうち、卵からかえったばかりの赤ちゃんウミガメの死体の約半数からプラスチック片が発見されたということです。

 

一方、少し成長したウミガメの死体の場合はその4分の1から、大人のウミガメの死体の場合はその15%から、やはりプラスチック片が発見されています。

 

プラスチック片はウミガメなど海洋動物の体内を上手く通過して排泄される場合もありますが、体内に残ってしまうものも多くあり、それが内臓をふさいでしまったり、ひどい場合は内側から内臓を傷つけたり切り裂いてしてしまう例があることも確認されています。

 

このオーストラリアでの調査結果から、飲み込んだプラスチック片を体内にため込みやすいのは、まだ卵から出てきたばかりの赤ちゃんウミガメであると推測できます。

 

人も含め、やはり生まれたばかりの生命が周りの環境の影響を最も受けやすく、その犠牲になる可能性も高いのです。

 

幼い命は、優先的に守られなければいけません。

 

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【ジューン船長】

1987年、ジューンさんと仲間のグループは、この砂浜で予定されていたホテルの建設を阻止することに成功しました。

 

このホテル建設予定地はウミガメたちの産卵場所だったのです。

 

それ以来、この砂浜は保護下に置かれています。 あらゆる建築作業のみならず、夜中に人口の光を使うことも禁止され、観光客が近づくことも許されていません。

 

そうすることで、ウミガメたちは安全に産卵できるからです。

 

ジューンさんの保護活動が成功して以来、この砂浜はウミガメたちが好んで集まる場所になりました。

 

加えて、10年前からはウミガメの保護センターが開かれ、トルコの浜辺でケガをしたウミガメを保護・治療する活動も行われています。

 

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ジューンさんを知る人は、彼女を「キャプテン・ジューン」と呼んできました。

 

海を愛し、現地を訪れた人たちにウミガメたちが直面している危機について説明し、若い人たち環境保護について教育をする、そんな彼女の活躍を多くの人がたたえ、海にちなんで「船長」と呼び始めたのです。

 

今でも世界中の海には苦しんでいるウミガメたちがたくさんいます。同時に、海の開発や汚染はもう後戻りできないところに来ているという、悲観的な意見をいう人たちもいます。

 

しかしトルコの海岸で大きな成果を上げたジューンさんの功績と、96歳になっても保護活動を続けているその行動力を、私たちは引き継いでいかなくてはいけないと思います。

 

 

 

出典: