海洋汚染対策が始まる中、放置された漁業網のもたらす惨たらしい被害にも注目
2018年4月、イギリス政府はプラスチックゴミ削減に向けて、プラスチック製ストローなどの製造禁止に向けた審議を開始すると発表しました。
同じく2月にはイギリス王室がプラスチック製品の使用をやめる決定をするなど、この国はプラスチックごみによる海洋汚染への対策に非常に熱心です。
こうした前向きなニュースが立て続けに聞こえてくる一方、(家庭ごみではありませんが)海に残される漁業網が引き起こす惨状に注目せざるを得ない話題も届けられています。
【アカウミガメの救助】
「Atlantic Rally for Cruisers」は、大西洋のカナリア諸島からカリブ海のセントルシアまでの距離をボートで3週間かけて競う海上レースです。
このレースに参加したハウウェルさんのチームは、海上を走行する途中、ネットに絡まって浮いている生き物らしきものを見つけました。
遠くから見たときはクジラのような生物がネットにかかって動けなくなっているのかと思いましたが、近づいてみるとそれはアカウミガメでした。
ハウウェルさんたちは、もうこのウミガメは死んでいると思ったそうです。
しかしもっと近づいてみるとそのアカウミガメはすでに疲れ切っていながらも、抜け出そうと一生懸命にもがいているのに気づきました。
レースの途中でしたが、見捨てるわけにはいかないと感じたハウウェルさんたちはボートを止め、ネットを切ってあげました。
そして自由に体を動かせるようになったウミガメは、ようやく逃げることができたのです。
「私たちの救助活動を誇りに思っていますよ」とハウウェルさんと自分たちの行動に満足感を覚える一方、こうも語っています。
「海上、とくに地中海はゴミだらけ。文字通りゴミの上を通ってきたようなものでした」。
【流し網の犠牲になる動物たち】
米カリフォルニア州は環境保護に特に熱心な州として知られています。
しかしながら、いわゆる「流し網漁」の禁止についてはなぜか手放し状態が続いています。
流し網漁は海中に漁業網を張り、魚など目的の獲物がかかるのを待つ方法です。
しかしこの方法では、本来の獲物以外の海洋動物まで網にかかってしまい、多くの場合それらの動物たちは命を落とすことになるため問題視されてきました。
公海上の流し網漁は1991年に国連決議で禁止されており、またアメリカに限った場合でも東海岸では全面的に禁止されています。
西海岸でもオレゴン州などでは禁止されていますが、唯一カリフォルニア州では許可されているのです。
カリフォルニア州で行われる流し網漁はメカジキが目的です。
しかし、メカジキ1匹に対してそれ以外の7匹の海洋動物も網にかかって犠牲になっているという推計が出されています。
捕獲されてしまったメカジキ以外の動物たちは、そのまま死に絶えるか、生き残ったとしても「邪魔者」として殺されて捨てられてしまうことがほとんどです。
こうした様子をとらえた動画が最近公開され、一部で注目されました。
※残酷な映像も出てきますのでご注意ください。
カリフォルニア州では現在、流し網に代わる漁業方法へ資金援助するための法律を州議会で審議しています。
この法案が可決すれば、将来の流し網漁禁止への扉が開かれると期待されています。
(出所)
英首相、プラスチック製ストローと綿棒禁止の審議始めると述べる TBS NEWS
Turtle trapped in a plastic fishing net is rescued by Brit crew | Daily Mail Online
Undercover Video Reveals Deadly Impact Of Drift Nets On California Marine Life | Care2 Causes