生まれつき前脚のない子犬 深刻な障害を抱えながらも里親といっしょに前向きに生きる
子犬のナビーは生後間もない段階で、獣医師が安楽死を勧めざるを得ない状態でした。
ナビーは前脚のない状態で生まれてきました。
ナビーを生んだ母親は育児放棄せず育てようとしていましたが、いっしょに生まれた兄弟たちと一緒に暮らしてゆくことができなかったのです。
お母さんのおっぱいを吸うとき、兄弟たちがナビーを押しのけてしまい、ナビーはお乳を吸うことすらできない状態でした。
このまま放っておけば、ナビーは衰弱死してしまうのは明らかだったのです。
そうであれば、「早く楽にしてあげる」ことがナビーにとっても良いだろうと判断されました。
【里親のものとで無事に育つ】
そんな時に現れたのが、ロビンソンさんでした。
テキサス州ヒューストンで長年にわたり動物救護活動を行ってきた女性で、「Warriors Educate About Rescue」というグループを立ち上げ、動物のケアについての啓もう活動をしている人です。
幸運なナビーはこのロビンソンさんに引き取られました。
旦那さんのマークさんとともに、夫婦でこのナビーが生き続けられるよういろいろと調べながら育てる毎日が続きました。
たとえば、哺乳瓶でミルクを飲ませるときにはナビーの体を一定の角度に傾ける必要があることがわかりました。
ナビーの体が原因で、子犬用ミルクを肺の中に吸い込んでしまう可能性があるからです。
3日たち、7日たち、10日が過ぎ、それでもナビーは生き続けることができました。
最初閉じたままだった目が開き、耳も広がって、音を聞き分けることができるようになりました。
においはもちろんのこと、ロビンソンさんやマークさんの声を聞き取ることもできるようになってきたのです。
【重い障害を抱えていることが判明】
しかし、引き取られてから3週間ほど過ぎたころ事態が急変しました。
ナビーがくしゃみを始めました。
トイレをしなくなり、食欲もなくなってしまったように見えます。
さらには、飲み込んだミルクを鼻から吹き出してしまうという症状を見せ始めました。
病院に連れてゆきレントゲン写真を撮影。
すると、ナビーはひどい肺炎にかかっていることが分かりました。
それだけではありません。
「先天性食道異常」と呼ばれる障害を抱えていることも判明したのです。
ナビーの食道にはポケット状になった部分があり、そこに飲み込んだミルクがたまってしまうという症状でした。
動物病院ではナビーを酸素室に入れ、抗生物質を静脈に投与する処置をしました。
呼吸が思うようにできない症状に苦しみ続けましたが、危険な状態からは脱することができ、徐々に回復してきました。
そのときの様子をロビンソンさんは「ナビーはあきらめずに頑張っていました。少しでも生きる希望がある限り、私たちはナビーにチャンスを与え続けるつもりでした」と語っています。
【まだ続く不安定な状態 それでも前向きに生き続ける】
回復したナビーは、いまロビンソンさんとマークさんの家に戻ることができました。
ナビーはまだ生後数か月もたっていません。
体が小さすぎるため、獣医師の先生も抗生物質の静脈投与をどの程度行えばいいか判断できないままです。
ナビーの抱えている障害が一生涯続く重たいものなのか、それともある年齢に達すれば治療することが可能なのか、または成長するにしたがって悪い状態から抜け出すことができるのか、現時点では全く分からないそうです。
ロビンソンさんはナビーにつきっきりで面倒を見ています。
ロビンソンの希望としては、ナビーと家でいっしょに暮らし、彼女が行っている啓もう活動にナビーにも参加してほしいと考えています。
ほかの犬たちとは異なる特徴を持っていても、元気に家族として暮らしていけるということを学んでもらいたいと願っているのです。
元気なときのナビーは、床の上に這いながら後脚だけを使って一生懸命に動こうとするほどアクティブですが、今は思い通りに体を動かすことができず、がっかりするような様子を見せるそうです。
それでも「ナビーは前向きに生きています。道は開かれていくでしょう」とロビンソンさんは温かく見守り続けています。