「有害動物の生息数を抑える」という建前でコヨーテの殺害コンテストがアメリカで開催される

 

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アメリカ北西部に位置するワイオミング州

全米50州の中では最も人口が少ない州ですが、自然環境が豊かで多くの野生動物が生息しています。

とくにバッファローやハイイログマ、北米カモシカ、そしてコヨーテなどがその代表的なものです。

 

このコヨーテを巡って、ワイオミング州ではあるハンティング大会が物議をかもしています。

 

野生のコヨーテをターゲットとしたこの大会は、子供を含めた様々な年齢層の人たちができるだけたくさんのコヨーテを撃ち殺すという「楽しみ」のために、ライフルを持って参加するものです。

 

最も多く殺害した人には賞金が支払われ、さらにはワイオミング州選手権大会への参加権が与えられます。

チーム単位でも「競技」が行われ、最も大型のコヨーテを殺したチームと最も小型コヨーテを殺したチームに対して賞金が支払われるようになっています。

 

当然のことながら、動物倫理の観点からこのコンテストへの批判はとても高まっています。

 

また直接ハンティングを行わない人たちも参加が可能で、彼らは殺害数の最も多いチームを予想し、賭けをすることができるのです。

そのために、不法賭博の可能性についても指摘されています。

 

 

【「有害動物の生息数をコントロールする」という建前】

この種の動物殺害は「野生動物環境のバランスを管理する」とか「増えすぎた捕食動物の生息数を抑える」という建前で正当化されていることが多いものです。

 

全米では、毎年数十万頭のコヨーテが「生息数管理」という名目で殺害されている、という情報もあります。

 

これは野生の森林に生息するコヨーテが人里に現れ、酪農家が保有する家畜を襲ってしまうため、この「天敵」がこれ以上増加しないようにすることを目的に行われているものです。

確かに酪農場を経営する人たちにとって、大切な資産である家畜を襲ってしまう野生動物は殺害してでも管理しなければならない、ということになるでしょう。

 

またコヨーテが人を襲ってしまう例も多く報告されているといいます。

 

しかしこのやり方にも賛否両論があり、これほど多数のコヨーテを殺害しても事実上管理はできていない、という指摘もあるようです。

 

そもそも、コヨーテは本来であれば森林の奥深くに生息する動物で、人の住むような平地に出てくることはないといわれています。

 

しかし人が土地開発を進めてゆき、コヨーテの住処であり活動場所である森林をどんどん狭めていった結果、食べ物を求めて人の住む場所まで現れてしまうようになったのです。

 

 

【血に汚れたスポーツ】 

生息数を管理するための殺害については、何が正解かよく分からないのは事実です。

 

しかしこのワイオミング州のコヨーテ・ハンティング大会ように、コヨーテ殺害を娯楽として扱い、挙句のはてに殺害数に対して金を賭けるなどというのは、野生動物の管理とは言えないでしょう。

 

この大会に対して反対キャンペーンを行っている動物愛護団体「Animal Legal Defense Fund」の代表であるウェルズ氏はこう語っています。

 

「殺害コンテストは血に汚れたスポーツに過ぎません」

 

「この大会は適切な環境保全や野生動物の管理といった目的とはまったく合致しないものです。健全な食物連鎖のためにコヨーテは欠かせない存在です。楽しみのために殺されるべき存在ではありません」

 

 

 

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