シェルターに収容されたイヌたちへ 本の読み聞かせを行う活動が広まる
保健所に収容されたイヌたちの生活は、どうしても寂しいものになりがちです。
これはアメリカでも同じで、動物シェルターの中では、一頭ごとに別々の小さな檻の中に詰め込まれて生活をしています。
【十代の若者たちが「朗読会」】
カリフォルニア州のサクラメントでは、こんなシェルターのイヌたちの寂しさを少しでも紛らせてあげようと、十代の若者たちで構成するグループが力を尽くしています。
ここは「サクラメント動物ケアセンター」。 動物を愛するティーンエージャーたちが、このセンターに収容されているイヌに本を読んで聞かせてあげる活動を行っています。
彼らは「STAMP」(Sacramento Teen/Animal Membership Program)と呼ばれる十代の人たちで構成されたグループで、シェルターに収容されてしまった動物たちに何らかの手助けをしたいとの思いから立ち上げられた組織です。
「Page for Pups」(イヌたちのためのページ)と呼ばれるこの活動は、収容されたイヌたちに安らぎを感じてもらえる手伝いをしよう、という目的で始められました。
シェルターでの生活はどうしても混沌としがちで、イヌたちへの精神的な負担はとても大きくなってしまいます。
人とのこのような形でのふれ合いが、わずかながらでもイヌたちに平安を与えられているのは素晴らしいことです。
また参加している若者たちにとっても、彼らをじっと見つめてその朗読に集中するイヌたちとのふれ合いから、大きな安らぎを得ているのです。
(High Schoolers Take Some Time To Make Shelter Dogs Feel Loved)
【子供たちも参加】
このような活動はカリフォルニア州だけで行われているのではありません。
ミズーリ州では、小さな子供たちが「イヌへの読み聞かせ」ボランティアに参加しています。
子供たちはこのシェルターを訪れる前に、イヌがストレスを感じたり怖がったりしている時にどんな様子をするかを、あらかじめ学んでおきます。
むやみにイヌに近づき、逆にイヌたちのストレスを増やしてしまうことがないようにしているのです。
シェルターに収容されているイヌは、どうしても人との触れ合いが少なくなってしまうため、必要以上に人を怖がる場合があります。
そして、人に近づこうとしないイヌは里親に選ばれにくいという傾向があるのです。
しかし子供たちによる読み聞かせによって、以前は人を怖がっていたイヌたちも少しずつ心を開くようになってきているようです。
また動物との触れ合いの機会を与えることで、子供たちにとってもよい情操教育になっていると考えられています。
(Something Truly Beautiful Is Happening At This Animal Shelter)
【「語りかけてくれる」ことの大切さ】
もちろんイヌたちには本の内容が通じるわけではありません。
しかし「自分に語りかけてくれる人がいる」ということは、捨てられたイヌたちにとっては、大きな癒しになるに違いありません。
イヌたちには、いま閉じ込められているのは自分たちのせいではないということ、そして、決して自分たちは見捨てられてしまったのではないということを、若者や子供たちの活動で感じ取ってほしいと思います。