「カンド・ハンティング」という残酷なゲームの実態
ケビン・リチャードソンさんは、南アフリカの野生保護地域の中に自分自身の保護地区を立ち上げ、ライオンたちの保護に尽力している男性です。
驚かされるのは、ケビンさんがライオンたちと文字通り「一緒にいる」ということです。
ケビンさんは決してライオンに育てられた男などではありません。
独学でライオンの習性を覚え、「今まで人が野生動物と触れ合うときに守るべきルールと考えられてきたことを一つひとつ破ってきた」と語っています。
ケビンさんは、ライオンたちをつなぎ止めておく鎖を断ち切ることこそ彼らと仲良くなる最高の方法だ、と語っています。
【なぜこの人はライオンと一緒に遊んでいるのか?】
ケビンさんは単にライオンを好きなだけではありません。またライオンと仲良しなことを見せびらかしているわけでもありません。
ケビンさんには世の中に訴えたいことがあるのです。
英語で「canned hunting」と呼ばれている残酷なゲームに対する意識を高めるために、このライオン保護区を立ち上げて世界にアピールしているのです。
この「canned hunting」というのは、いわゆるトロフィー・ハンティングの一種です。
通常のトロフィー・ハンティングは、アフリカなどの現地に赴き、野生動物のいる場所にハンター自身が近づいてライフルで撃ち殺し、主に頭部をトロフィーとして持ち帰る、という行為です。
一方このカンド・ハンティングとは、ライオンなどハンティングの対象になる野生動物を捕まえてフェンスで囲った場所に閉じ込め、その外からライフルで撃ち殺す、という卑劣極まりない行為なのです。
さらに、大人になったライオンを捕まえてフェンスの中に入れるのは大変なため、赤ちゃんライオンを捕まえてフェンスの中に閉じ込めて育て、「殺すのに十分な大きさ」になったらハンティングの対象にする、ということが行われているとも言われています。
【ネット上でも行われるハンティング】
2000年代に入ってからは、このカンド・ハンティングをネット上で出来るようにしたウェブサイトまで現れました。
このサイトでは、動物を囲っているフェンスの周りにカメラとライフルを設置し、オンラインでそのライフルを操作して動物に銃弾を命中させる、ということが行われていました。
当然のことながらカンド・ハンティングは動物虐待そのものであり、その残酷性はハンターたちの間でも批判の的になるほどですが、一部ではいまだに認められている状態です。
アメリカでは50州のうち、禁止されているのは20州のみです。
【減り続けるライオンの生息数】
ケビンさんはこのカンド・ハンティングがなくなれば、自分の動物保護区にいるライオンたちをまたアフリカの野生に開放してあげたい、と語っています。
アフリカに生息するライオンの数は、この21年間で42%減少していると言われています。
1940年代の生息数と比較すると、95%も減少しているという報告もあります。
まずは「楽しむために殺す」という最低の行為からやめなければいけません。
(Lions Snuggle Up To The Man Who's Trying To Save Them)