ガザ地区の戦闘に巻き込まれた動物園の動物たち

パレスチナガザ地区には動物園があります。

 

かつてここはライオン、ワニ、サル、ダチョウなどを見に来る家族連れで混み合うとてもにぎやかな場所でした。

 

しかし長年にわたる戦闘、極寒の冬、そして疫病の流行などがこの動物園を襲い、近年では何とか生き延びようとしている痩せ衰えた動物たちが集まった場所になってしまったのです。

 

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【ガザ動物園の惨状】

ガザ地区には180万人ほどの人たちが住んでいます。

 

2007年、イスラーム主義組織ハマースがこの地区を封鎖し、実質支配を始めました。 それ以来住民たちの生活状況はどんどん悪化しています。

 

それは人間のみならず、この地区の動物園にも影響を及ぼしているのです。

 

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「ガザ動物園」は、ある個人が大金をつぎ込んで開設した「手作り動物園」でした。

 

一時は30人の従業員を抱え、家族連れや学校の遠足で訪れた子供たちが食事のできる園内レストランまで運営するほどの繁盛ぶりでした。

 

しかし現在、この設立者自身が採掘工場で働き、二人いる兄弟もタクシーの運転をしてなんとか生活をしのいでいます。

 

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今ではこの三人のうちの二人が動物園に赴き、まだ病気で倒れていない動物たちの世話をしている状態です。

 

「人々は自分の食べ物を得るので精いっぱいで、動物どころではないのです」

 

「トラは一日に約20ドル相当のエサを必要としますが、この動物園に暮らすトラはもう4~5日もエサを食べていません」。

 

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【2014年の戦闘で状況悪化】

この動物園の状態が悪化したのは、2014年にイスラエルとハマースの間でいわゆる「50日戦争」と呼ばれている戦闘が起こったころでした。

 

動物園そのものが直接攻撃されたわけではありませんが、戦闘が激しくなったために、従業委のみならず設立者の三人兄弟までもがこの動物園に訪れるのが非常に困難になりました。

 

その結果、動物園の運営のみならず動物たちの面倒すら十分にみれなくなってしまったのです。

 

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6匹いたダチョウも、1匹を残して他はすべて死んでしまいました。

 

ライオン数頭と1匹のラマが去年の12月に死にました。

 

ワニはすでに全部死んでしまいました。

 

動物たちの死骸は詰め物がされ、とりあえず動物園内に積み上げられている状態です。

 

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【ハマースの設立した動物園も同様の惨状】

ハマースによって建設された「アルビザン動物園」もまた、同様の状態に陥っています。

 

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この動物園は上記の2014年の戦闘でひどいダメージを受け、80匹以上の動物や鳥がその戦闘で死んでしまいました。

 

さらにヤマネコ1匹、サル2匹、そしてハヤブサ1匹が去年の12月に死にました。

 

生き残った動物たちもエサのない状態で放置されており、寒さに震え続けています。

 

「だれもこの動物園に目を向ける人などいません。ガザ地区の封鎖のせいです。動物の面倒を見る人などいないのです」 とアルビザン動物園の管理人は語っています。

 

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2014年、動物愛護団体「フォー・ポーズ・インターナショナル」が痩せこけたライオン3頭をアルビザン動物園からヨルダンに移送することに成功しました。

 

また2015年の夏には、同じ団体がガザ動物園からライオンの赤ちゃん2匹を買い取り、ヨルダンにある保護地区に移しています。

 

しかしそれ以外の動物たちは、いまでもひどい環境の中で暮らし続けているのです。

 

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Animals at Gaza's zoos die of hunger, diseases | Daily Mail Online