「セラピーペット」をめぐる騒ぎあれこれ

 

飛行機の座席に七面鳥がいたらさぞかし驚くことでしょう。

 

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通常そんなことは起こらないはずですが、SNSReddit」で最近1,700のコメントを集めることになったある投稿を見る限り、起こりうることのようです。

 

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メンタルヘルス治療法としての七面鳥

これはある女性が「セラピーペット(セラピーアニマル)」として飼育している七面鳥でした。

 

この女性は、数年前に離婚や死別などを経験し、精神的に大きなダメージを負った状態で苦しい日々を過ごしていました。

 

しかし七面鳥の雛を与えられ、毎日接しているうちに、心に安定を取り戻したそうです。

 

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アメリカではこういった動物たちは、資格を持ったメンタルヘルスの専門家によって「処方」される形で与えられます。

 

つまり心の病に対するある種の治療法として認知されているのです。

 

 

【セラピーペットに対する批判】

SNSに載った写真に対するネット上のコメントは、楽しんだり面白がったりしている好意的な反応が多かった一方、中には皮肉たっぷりの意地悪な発言もいくつか見られました。

 

「泣き叫ぶ赤ちゃんがいないことを祈りながら搭乗したら、代わりにこんなものに出くわすとは・・・」

「やってらんないよ」

「ペットに七面鳥を選ぶような人だからこそセラピーが必要なんだよ」

 

当の女性は「七面鳥には特製のオムツを着用してあったから粗相をすることはなかった。鳴き声も立てず静かだった」と反論しています。

 

2015年6月には、ウィスコンシン州の女性がファストフード店に子供のカンガルーを持ち込んで問題になったことから、セラピーペットを取り締まる州の法律を強化することになりました。

 

この女性もカンガルーがセラピーペットであることを主張しましたが、当局はセラピーペットはイヌが小型のウマに限るとして、女性の主張を退けています。

 

また2014年11月、同じくアメリカで、ある女性が機内に連れ込んだ一匹のブタが通路でフンをしたりブーブーとうるさく鳴いたりしたため、離陸前に女性と一緒に飛行機から降ろされた、という出来事がありました。

 

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アメリカでは、セラピーペットを機内に持ち込むことを許可する法律を飼い主たちが乱用している、という批判が相次いでいます。

 

「ニューヨーク・ポスト」紙のある記事では「本来であれば持ち込む必要がないはずの場所にセラピーペットを持ち込むというのは、自分勝手な行為」と述べ、「もしセラピーペットなしで行くことができないのであれば、そもそも行くべきではない」と手厳しく批判しています。

 

 

【人間が節度を持つことが大事】

これらのニュースを聞くと、あたかも動物が原因で人間社会に問題が発生しているように見えてしまいます。

 

しかし本当に問題なのは動物そのものではなく、その動物と触れ合う人間自身が、節度を持ってまわりの人との常識的なルールを守れるかどうかにかかっています。

 

日本でも主にイヌによる「アニマルセラピー」が取り入れられ始めています。

 

小児ガンの患者さんたちは、その治療期間にイヌと触れ合うことで心の安らぎを得られるといわれており、すでにいくつかの病院で採用されています。

 

また高齢の方にとっても、イヌと触れ合うことで孤独感などをまぎらすことができる、という効果が報告されており、ここでも動物たちが活躍しているのです。

 

Therapy animals: 'Something to care for and love' - BBC News