クリスマス返上で救助された瀕死の子馬 1週間で回復の兆しを見せる
2015年のクリスマス当日、白と茶のブチ模様をした子馬が、無残な状態で泥沼に置き去りにされているのが発見されました。
後に「チャンサー」と名づけられたこの子馬は、生後8ヶ月。ひどい雨の降る12月25日、イギリスのある片田舎でのことです。
泥沼にはまり込み、抜け出そうともがくエネルギーも失ったまま、ひどい天候の中を一匹で残されてしまっていたのです。
通報を受けたRSPCA(イギリス動物虐待防止協会)、獣医、警察、その他の動物保護団体関係者、そして近隣の住民が見守る中、緊迫した救助作業が行われました。
RSPCAの担当者は現場を振り返ってこう語ります。
「チャンサーは泥の中に倒れこんでしまっていました。雨が降っていて、ひどい有様だったのです」
「自分で頭を上げるエネルギーも残っていない状態でした。私はチャンサーに死なないで欲しかった。だから「おい、がんばれ、クリスマスだぞ。あきらめちゃだめだ」と語りかけました」
「この救助は困難をきわめました。あたりは泥沼で、雨は降り続けており、さらにクリスマス当日であったため必要な救助を得るのが通常より難しかったのです」
「現地の住民、動物保護団体の関係者たち、そして後から警察も集まりました。みんなが力を合わせてこの小さな子馬を助けようとしてくれました。彼らの協力には大変感謝しています」
6時間かけてようやくチャンサーの救助に成功し、ブランケットに包み、頭を藁の枕の上に静かに乗せてあげました。
獣医と馬の専門家たちは、クリスマスを返上し、この子馬の救助に奔走しました。
欧米ではクリスマスは、日本でいう正月に相当する、年に一度の大事な日なのです。
チャンサーはハンモックに乗せられ、巻き上げ機を使ってなんとか輸送車に収容し、専門の病院に運ばれ、治療を受けることになりました。
救出当時のチャンサーの生存の可能性は、決して高くはありませんでした。
鎮痛剤を投与し、脱水症状に陥っていたため5リットルもの水を飲ませ、さらに手術をする必要がありました。
また寄生虫に感染していることも判明しました。
その後1週間にわたり、専門病院で集中治療を受けてきたチャンサーは、輸血と抗生物質の投与を受けてきたのです。
【奇跡的な回復を見せ周囲を喜ばせた子馬】
しかし1週間経ち、チャンサーは回復の兆しを見せており、4本足で自力で立ち上がれるようになりました。
救助にあたったRSPCAの職員たちも喜んでいます。
「完治するまでは長い時間がかかりそうです。しかし自分で立ち上がることができるようになったのは、大きな希望の光です」
家畜として十分な世話を受けていないない馬は、社会問題にもなっています。
今回救助にあたったRSPCAでは、500頭にのぼる数の馬をケアしていますが、使用できる施設にも限界があるため「これ以上は受け入れられないレベルに近づきつつある」と述べています。
RSPCAは、警察の全面的な協力のもと、今回のチャンサーの飼い主を探し出す方針です。
(Animal rescue: Neglected foal nursed back to heath by RSPCA | Nature | News | Daily Express)