イギリスで最高齢のペンギン逝く 38歳の誕生日を目前に安楽死
イギリスで最高齢を記録していたペンギンが、38歳の誕生日を数週間後に控えた12月始めに死亡しました。
メスのペンギン「パット」は、イギリスで飼育されているペンギンの中では最高齢でした。
しかしここ最近パットはひどい関節炎に悩まされており、諸事情を考慮した動物園の獣医は、パットを安楽死させる決定をしたのです。
【人気者ペンギン「パット」】
過去何年にもわたり、パットはイギリス南部にある「リヴィング・コースト動物園」の人気者でした。
30歳を超えてからも14歳のオスのペンギンと仲良くなるなど、話題に事欠かず来園者を楽しませてくれていました。
パットは「ケープペンギン」と呼ばれる種類で、イギリス国内ではこのリヴィング・コースト動物園がケープペンギンのもっとも大きな集団を飼育しています。
ケープペンギンは絶滅危惧種に指定されていますが、パットはとても多くの子供を出産しており、その繁殖に貢献してきました。
38年近い生涯のうちで9匹の赤ちゃんを産み、最終的には3匹のひ孫の誕生まで見届けています。
パットは14歳のオス「エディー」と同じ巣穴で暮らしていました。
「とてもかわいいペンギンでした。エサの魚を求めて嬉しそうに飼育係に近づいてきました。でもお腹がいっぱいになると、魚をくちばしに加えたまま自分の巣穴にまっすぐ戻って行くのです」 と動物園はかつてのパットの様子を語っています。
「パートナーのエディーはくちばしでパットの羽根を整えて、自分の愛情を表現していました。エディーは大切な遺伝子を持っているオスですので、パット亡き後も新しいパートナーを見つけて欲しいと思っています」
(37歳のとき、最後の誕生日を祝うパット。)
【イギリスで最高齢のペンギン】
パットは1978年に、同じくイギリスにある別の動物園で誕生しました。
そしてリヴィング・コースト動物園が開園した2003年に引越しをし、それ以来ずっとこの動物園で暮らしてきました。
イギリスで最高齢、ヨーロッパでは2番目に高齢なペンギンであるとされていました。
しかし年齢を重ねるとともに、関節炎がどんどん悪化してきたのです。
「関節炎のせいでパットは生きていくのが苦しくなっていました。私たちにできる唯一のことは、安楽死させることだけだったのです」 と動物園はコメントしています。
「パットは献身的なパートナー、獣医師の専門のケア、おいしいエサに恵まれ、さらに天敵から襲われる心配もないという素晴らしい一生を送ることができました」。
【絶滅危惧種「ケープペンギン」】
ペンギンの多くは北極に生息していますが、ケープペンギンは別名「アフリカペンギン」と呼ばれており、南アフリカの喜望峰(ケープタウン)付近を中心に生息するペンギンです。
ロバのような鳴き声をあげることでも知られています。
現在、ケープペンギンは絶滅の危機にさらされている動物の一種です。
19世紀初頭では、世界で150万匹生息していたといわれていますが、2010年には5万5千匹まで減少しています。
気候変動や商業狩猟、原油流出などがその生息数激減の原因であるといわれています。