「ユキヒョウ」という動物について知っておきたいこと
絶滅危惧種とされている動物はたくさんいますが、この「ユキヒョウ」もまたその一種です。
雪の降る地域に生息するヒョウであることから「ユキヒョウ(雪豹)」と呼ばれています。
地球温暖化のために生息地域がどんどん減っているため、生息数の減少に歯止めがかからない状態になっています。
WWFによると、ユキヒョウの生息する山の3分の1が、気候変動のために生息に適さなくなる可能性がでてきました。
ユキヒョウが生息している山に生えている草木や樹木は、上昇する気温に耐えることがでず、枯れていってしまう恐れがあるのです。
【絶滅が心配される理由】
ユキヒョウの絶滅が心配される理由は気候変動だけではなく、その他いくつかの要因が挙げられます。
- ユキヒョウの生息地、特にヒマラヤ山脈東部は、どんどん人間が入植しているため、狭くなってきている。
- 自然界にいる獲物の数が減っているため、空腹に耐えかねたユキヒョウは現地の農家の家畜を襲ってしまう。その結果、農家の人たちに「害獣」とされ殺されてしまう。
- その美しい姿かたちを狙った密猟が絶えず、不法取引が横行している。
そして近年の気候変動が、これらの要因に拍車をかけてしまっている状況である、とWWFのレポートは述べています。
そしてユキヒョウの数は減少し、多くの地域で絶滅寸前の状態にまで追いやられているのです。
「もし人間が気候変動に目を向けないと、ヒマラヤ地域は大きな危機にさらされることになります。ユキヒョウなどの素晴らしい生き物を失ってしまうというリスクのみならず、この山脈から流れてくる水によって生活している何億もの人々にも影響が出てくるからです」
インドやネパール、ブータンなどヒマラヤ山脈に接する国々では、今までもトラやサイなどの絶滅危惧種の生息数を増やすことに成功しています。
このノウハウをユキヒョウにも適用できるのではないか、とWWFは期待しています。
【ユキヒョウについての豆知識】
★ 中央~南アジアが原生地。
★ 生息数は世界で4,000頭とも6,000頭とも言われている。過去20年の間に20%減少している。
★ 体長は尾を除いて86~125cm。体重は22~52kg。オスはメスの3倍の大きさになる。
★ 尾の長さは、体長とほぼ同じ80~105cm。長い尾は体のバランスを取るとともに、体に巻きつけて体を温める機能も持っている。
★ 通常、標高3,000~4,500mの高さに生息するが、標高5,500mでも目撃された記録がある。
★ やわらかい雪の上を歩いても沈まない独特な足をしている。
★ ほかのネコ科の動物と異なり、吼え声をあげることはない。
★ 最高で体長の約6倍にあたる9メートルの幅を跳ぶことができる。
★ 視力がまったくない状態で生まれ、そのまま9日間過ごし、ようやく見えるようになる。
★ 産まれてから2ヵ月後にはふつうに活動することができるが、2歳になるまで母親とともに過ごす。
★ 群れをつくらず単独行動する。
★ 夜明けと夕暮れ時に狩を行い、自分の体重の3倍もの重さの獲物まで捕まえることができる。
★ 斑点のある毛皮は季節によって衣替えされる。冬は白くて厚めの毛皮で体を覆い、雪の中でカムフラージュできるようになっている。夏は細かい黄色と灰色の毛皮に変わる。
★ 野生動物を主なエサとするが、家畜を襲って食べることもある。
★ 家畜を襲われた酪農家が報復でユキヒョウを殺害する事例しばしば起こるが、報告されることはめったにない。
Snow leopards face 'new climate change threat' - BBC News
Top 10 snow leopard facts - WWF UK