「ハクビシン」というしばしば見かける動物について知りたい
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都心でもしばしば目撃情報があり、一部の家屋や農作物に被害のあるハクビシン。
この動物は「ネコ目 ジャコウネコ科」に分類されますが、日本にはもともとジャコウネコ科の動物は生息していなかったと言われています。
もともとはインド洋周辺の島々や東南アジアに生息していた動物です。
国際自然保護連合(IUCN)は軽度懸念の(絶滅のおそれもなく、近い将来絶滅に瀕する見込みは低い)種として指定しています。
通常ジャコウネコ科の動物にはしま模様や斑点などが見られますが、ハクビシンの毛皮にはそのような模様は見られないのが特徴です。
顔には鼻から額にかけて白い線が引かれており、これが大きな特徴となっています。
夜行性の動物ですが、昼間にも活動することがあり、また巣以外の場所では群れで行動しない動物です。
スカンクなどと同じく、攻撃され身の危険を感じると肛門から分泌物を放出することが分かっています。
雑食動物で、ネズミや小鳥を捕まえて食べる一方、マンゴーやバナナ、またはそれらの樹の葉を食べます。
一年に2回の繁殖期があり、メスは最高で一度に4匹出産。捕獲され飼育されたハクビシンは最長で15年間生きたことがありました。
【SARSとの関連】
中国の一部では、ハクビシンは狩猟され肉が食卓に出されていて、調理が十分でなかったハクビシンの肉を食べた人が、SARSに感染し、拡大の発端になったと言われていました。
2003年5月、中国で生きた動物を売買する市場にいたハクビシン7匹にSARSウィルスが発見され、その後調査が行われ、SARSウィルスはハクビシンから人へ感染したという発表がなされました。
しかし新たに行われた研究では、人はまず最初にコウモリからSARSウィルスに感染し、次にその人に飼育されていた豚が感染、そこから多くの動物に感染が広がり、人間社会に感染が広まった、と言うことが分かっており、ハクビシンはその感染経路の一部にすぎなかったことが判明しました。
【人との共生】
顔がとてもかわいらしく一見何の害も与えないように見えますが、家屋に住みついたり庭の木の実を食べ荒らしたりするなど、被害と言える事態が発生しています。
すでに自治体では対策を講じているところが多く出てきています。
東京都新宿区にある新宿御苑には多くのハクビシンが生息していることが知られていますが、新宿区内の住宅地でもハクビシンが目撃されているそうです。
新宿区では区のホームページで「ハクビシンやアライグマからの被害を防ぐために」として、対応策を紹介するなどしています。
なお、被害があるからと言って、人から動物へ一方的に攻撃を仕掛けるようなことはやめましょう。
上記のように、ハクビシンは身に危険を感じると分泌物を出すこともあるようですし、動物愛護の観点からもむやみな攻撃は避けるべきです。