ニワトリのヒナの「シュレッダーによる殺処分」がフランスでも禁止へ

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2019年9月、スイスがオスのひよこをシュレッダーにかけて殺処分することを禁じた、という記事をこのブログで紹介しました。

 

animallover.hatenablog.com

このたびこの動きがフランスにも広がり、禁止されることが決定しました。

 

2021年末までの施行を目指す、ということですので現時点ではまだ行われていますが、農業大国であるフランスがこうした動きに出たことは、他の国々も含めた殺処分全廃への大きな動きだと歓迎されています。

 

 

 

年間70億羽のオスのヒナが殺処分

全世界で毎年70億羽のオスのヒナが殺処分されていることが分かっています。

 

理由は「卵を産まない」または「成長しても鶏肉として売り物にならない」というもの。

 

こうしたヒナたちは産業用シュレッダーにかける、ガス室に入れる、窒息死させる、といった方法で殺処分されることになります。

 

フランスは他国に先駆け、このすべての方法を廃止する決定をし、2021年の終わりまでにはすべての農家で廃止されることが義務付けられる見込みです。

 

一方でフランスの農業大臣は、ヒナが卵からかえる前にその性別を判断できる方法を開発するよう願っている、とも述べています。

 

現時点では科学者が卵に針を通してサンプルを取り出し、卵からかえる前にその性別を判断するという方法が行われています。

 

しかし当然のことながら、これは研究所の専門家が行うことで、酪農家が現場で行える方法ではないため、実用性がないのです。

 

他のヨーロッパ諸国では?

上記の通り、すでにスイスではシュレッダーにかけてオスのヒナを殺処分することが禁じられています。

 

しかし、記事にも書きましたが、この方法は禁止される前からすでに採用されなくなっている方法でした。

 

ドイツではこのシュレッダーによる殺処分は今でも広く採用されており、毎年4500万羽のオスのヒナが殺処分されています。

 

ドイツの場合は、卵の性別が特定できる手ごろな方法が見つかるまで、このシュレッダー方式による殺処分を認めるという判決が出されています。

 

EU法の下でも、あくまで「苦しまないように瞬時に殺すこと」と「生後72時間以内に処分すること」という条件を満たす限り、このシュレッダー方式は決して違法行為には当たらないそうです。

 

イギリスの場合、最も多く採用されているのはガスによる殺処分で、2分で殺害できるといわれています。

 

このガスによる殺処分が事実上イギリス国内すべての酪農業で採用されている方法だと見られていますが、シュレッダーによる殺処分も認められています。

 

ブタの去勢に麻酔を

麻酔なしの子ブタの去勢についても、オスのヒナの殺処分と同じく、2021年中の禁止を目指す、とフランスの農業大臣は述べています。

 

将来豚肉として出荷されるブタには体重を増やす目的で去勢手術が行われています。

 

また去勢していないブタの豚肉は調理すると独特なにおいを発することも、去勢手術が行われる大きな理由の一つとされています。

 

しかし、調理する時ににおいを発するのはブタ全体の20パーセントにすぎないことも分かっています。

 

このブタたちはまだ子供の時に去勢されますが、そこでは麻酔をせず次々と流れ作業で行われているのです。

 

しかしこのやり方も今後2年以内にフランスでは禁じられることになります。

 

酪農場での飼育方法へも目を向ける

動物愛護団体では、今回のフランスでの決定が他の国の酪農業にも影響を与えてくれることを願っています。

 

同時に、酪農場で生き続けるニワトリたちがずっと狭いケージの中に閉じ込められ続けている、という事実にも目を向けるよう訴えています。

 

卵を産む、または鶏肉として太ることだけを目的に、身動きできない状態でその生涯を終えなくてはいけないニワトリたちが無数にいるのです。

 

卵を産むスピードが落ちてくるだけでそのニワトリは「効率の悪い産業廃棄物」とみなされ、トラックに詰め込まれ、大量に殺されてしまうことになります。

 

殺処分方法だけでなく、将来はこうした状態にも目を向けられるようになることを願うばかりです。

 

 

 

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