「アヒルにはパンを与えてはいけない」のはなぜ?

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川や公園の池を泳いでいるアヒルにエサをあげるのは、何も害のないことのように思えます。アヒルたちも勢いよく食べてくれるので、エサを与えるのが楽しく感じるものです。

 

かつてはサンドイッチをつくった後に残る食パンの耳をエサとしてアヒルに与えることが多かったのですが、ここ数年「パンをアヒルに与えるべきではない」ということが新しい常識として広まってきているようです。

 

 

 

もちろんパンはれっきとした食べ物ですが、それは人にとっての話であり、アヒルにとってはジャンクフードと同様であるという指摘があります。

 

パンに限らずクラッカー、ドーナツ、ポテトチップス、ポップコーンなどは、アヒルにとってほとんど栄養価がない食べ物です。

 

これはアヒルのみならず、カモやガチョウ、ハクチョウにとっても同じことです。

 

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【パンを与えてはいけない3つの理由】

①混雑

人が安易に食べ物を与え続けると、その場所にいれば簡単にエサが手に入るため、多くのアヒルが集まってしまい、卵を温めヒナを育てるのもその近くでやるようになります。

 

その場所はどんどんアヒルで混雑してゆき、その結果自然のエサが足りなくなったり、余計な縄張り争いを引き起こすことになることが指摘されています。

 

またアヒルが多く集まる所には、アヒルの天敵も多く集まってきてしまう懸念もあります。

 

 

 

②水質汚濁

間接的に人に害が及ぶこともあります。

 

ヒルが食べ残したパンが水面に散らかって、それが腐敗していくと悪臭を発し、コケが発生して水路がふさがってしまうなどの可能性があります。

 

水質汚濁は、その川や池に暮らすアヒルのみならず、魚類や両生類、さらには流れ出した先の海に暮らす魚介類にも当然悪影響を及ぼします。

 

また汚染の進んだ場所では、ネズミなどが大量に繁殖するという可能性も考えられます。

 

③人への異常な接近

ヒルは通常人間を怖がり、近寄ってはこない動物です。

 

しかし、頻繁にエサを与えられ続けるとそうした自然の恐怖心がなくなり、人にどんどんと近づいてくるようになります。

 

大人の人間がアヒルに噛まれてケガをしたという事例はあまり報告されていないようですが、背の高さがアヒルと同じくらいの幼い子供たちが怖い思いをするという例は決して珍しくないようです。

 

またアヒルが人のいる場所に無暗に出てくるようになり、道路などにも無防備に現れるため、道路交通の障害になるといった事例も少なくありません。

 

 

 

【アヒルにエサを与えることはできないのか?】

野生に暮らすアヒルたちは通常、小さな魚、虫、草、豆や木の実などを食べています。

 

人が与えるエサでアヒルの健康に害がないものとして、米、麦、トウモロコシ、ブドウ、レタス、ミミズなどが挙げられています。

 

こうしたものを用意して、アヒルが食べられる分だけを与え、万が一食べ残した場合はそれを拾って持ち帰ることが出来るのであれば、問題はないかも知れません。

 

もちろん、アヒルにとってパンが有害・有毒であるという訳ではありません。

 

あくまでアヒルが本来必要とする栄養価がほとんどなく、その一方で炭水化物が多すぎるということが問題なのです。少し食べただけでは何の害もないものですから、ときどき与える限りは問題ありません。

 

しかし、それはあくまで自宅でペットとしてアヒルを飼っている場合に限ります。

 

川や公園に暮らすアヒルの場合は、誰が・どれくらいの頻度で・どんなエサを与えているのか分かりません。

 

ヒルたちの栄養バランスに責任を持てない以上、人が安易にパンを与えることは避けるようにしたいものです。

 

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