犬は人と暮らす動物 食肉業者から救助された1頭と里親の見つからない2頭の話
マルチーズ犬の「カモー」はもともと家庭で人といっしょに暮らしていたペットでした。
しかし、飼い主がカモーを韓国ソウルにある犬肉業者に引き渡してしまったのです。 もちろん食肉目的で殺されてしまうことが分かったうえで行われたことでした。
それ以来、この犬は殺される順番が訪れるのをただひたすら待つという毎日が続きました。 しかもその間、汚い檻の中で餌や水もろくに与えられず、毛は汚物で汚れ、体を動かせないまま狭い檻の隅でじっとしているしかなかったのです。
しかし2017年6月、ようやく犬たちのもとに救助の手が届きました。 なんとこの犬肉業者自身が動物愛護団体「Humane Society International (HSI)」まで連絡し、この事業を終わらせるにあたって動物たちを引き取ってもらいたい、と依頼してきたのです。
最初このカモーは人をとても警戒しており、檻から出そうとすると唸り声をあげていました。飼い主に捨てられ、そのあとはこの無残な状態で放っておかれたのですから、人間を信用しないのも無理はありません。
しかし同時に自分を守ってくれる人を求めている様子も分かりました。 救助した人は、カモーは必ずしも人を避けるわけではなく、なぜ自分がここにいるのか分からずに困っているようだった、と話しています。
檻から救助されたカモーは、韓国からアメリカへ輸送されました。
ペンシルヴァニア州の動物救助施設に収容され、まずは犬のグルーミングの担当者に毛をきれいに刈ってもらいました。 毛を刈り取ると、その体が完全にやせ細っていることが分かりました。
その後、マーキーさんという夫婦が里親と決まったカモーは、家庭でいっしょに暮らし始めることになります。
そのときには見た目はきれいになっていましたが、まだ痩せた状態で、人に対する恐怖心が強く残ったままでした。しかしマーキーさん夫婦の献身的な世話のおかげで、新しい生活になじんで行くことが出来ました。
今でも、それまでなかったものを置いたり家具の配置を変えたりしただけで、身の危険を感じるような仕草を見せるそうです。いまだに昔の記憶がよみがえってくることがあるのかも知れません。
そんなカモーのために、マーキーさん夫婦はできる限りのことをしてあげたいと語っています。
(Dog Rescued From Meat Farm Completely Transforms With Love - The Dodo)
【眼の色と聴覚障害のせいで里親が見つからないバディ】
左右の眼の色が違うことから「可愛く見えない」として、里親の見つからない犬がいました。
「バディ」と名付けられたこの犬は「Dogs Trust」というイギリスの動物保護施設で里親が決まるのを待っていましたが、何と2年間にわたって里親が決まらず、周りの犬たちが新しい飼い主に連れていかれるのを見送り続けていたのです。
里親が決まらない理由はその眼の色だけが原因ではありませんでした。
バディは聴力障害があるため、飼い主になる人は犬用の手話を覚える必要があるのです。
聴力障害のため周りの出来事に対してとても臆病になっていますが、自動車に乗せても大人しく、家の中でも暴れたりすることなどない、ペットとしては申し分ない犬なのです。
2016年、ようやく飼い主になってくれる人が現れ、里親としてバディを引き取ってくれました。 これはイギリスでもちょっとしたニュースになったようで、バディの将来を案じていた人々は胸をなでおろしました。
しかし、この里親になってくれた飼い主が先日亡くなってしまったのです。
バディは再び同じ動物保護施設に収容され、新しい里親が現れるのを待っています。
(Buddy the dog deemed 'too ugly to love' needs another new home | Metro News)
【特徴ある耳のせいで里親が見つからないタグ】
この犬もまたイギリスの動物保護施設で暮らしていて、里親の現れるのを待っています。
「タグ」と名付けられたこの犬は、ご覧の特徴ある耳のせいで里親になってくれる人が見つからないという状態が続いているのです。
タグは2018年9月、捨て犬として発見されました。 毛が泥だらけだったため、全身をきれいに刈り上げなくてはいけませんでした。
タグの世話をした担当者は、おそらくこの全身の毛を刈り上げたことが原因でこのような見慣れない風貌になったのだろうと話しています。
タグは献身的なケアのおかげで元気に回復しました。
しかし里親の募集を開始してから3か月がたっても、何の問い合わせもない状態が続いています。 タグ目当ての訪問者もなく、電話やメールの問い合わせもゼロ、フェイスブックのイイネすらないそうです。
タグには特徴的な見た目以外、何の問題もないのです。 一日も早く飼い主が決まることを祈りたいと思います。
(A very lonely dog is struggling to find a forever home because of his bat ears | Metro News)