キツネがたくさん出没する英ロンドン動物との共生の難しさも

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イギリスの首都ロンドンにはたくさんのキツネが暮らしています。

近年の統計によると、ロンドンを含めた英国イングランドの都会には150,000頭のキツネが暮らしており、過去20年間で4倍にも増えているとう数字が出ています。

こうした都会に暮らすキツネは俗に「urban fox」（都会のキツネ）などと呼ばれています。現在は都会に暮らす人間300人に対しキツネ1頭の割合にまで増えているということです。

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この様子を見ると、都会の住宅街に住み着いている猫と同じような感じでキツネが現れてくるようです。

ロンドンでその生息数が増加している大きな理由の一つに、ネズミが多く生息していることが指摘されています。事実、ロンドンでネズミが大量発生しないのは、キツネによる捕食がその理由の一つとして挙げられています。

【キツネをめぐる数々の問題点】

しかし、キツネについてはあまり良い印象を持たない人も多いようです。

キツネが人間の子供を襲ってしまうという例が数件報告されており、これは大変憂慮されるべきことです。

都会に暮らすキツネの食生活は、自然に暮らすキツネと大きくは変わりません。しかし都会の場合は人の食べ物の残り物が多く手に入るため、残飯や生ごみをあさるキツネが多く、それが住民たちに迷惑を及ぼしているという事例もあります。

犬や猫がキツネに襲われるという例はあまりないそうですが、同じペットでもウサギやモルモットなどはキツネに襲われる傾向が高く、飼い主は十分な注意が必要です。

また、勝手に民家の庭先に入り込んで花壇の花などを踏み荒らしてしまうということも多く起きており、ガーデニング好きのイギリス人たちにとっては頭痛の種です。

キツネには夜中に交尾をするときに大声で鳴くという習性もあり、これには住民たちは大きな迷惑を被っているようです。

こうした状況を抱えるイギリスではキツネを捕獲することは合法行為とされており、中には大型犬をけしかけて捕まえる人もいるそうです。

【キツネたちも必死】

一方、都会に暮らすキツネたちはかなり厳しい生活をしています。

通常キツネの寿命は12～15年ですが、都会のキツネたちの場合はわずか2～3年で死んでしまうキツネも少なくありません。

早く死んでしまう最大の原因は交通事故です。キツネが活発に活動するのは夜になってからなので、クルマを運転していても路上をすばやく横切るキツネに気づくのは難しいのです。とくに子供のキツネは体が小さく、そのため犠牲になる確率も高くなります。

キツネたちの約80％が、子供を産んで育てる年齢まで成長しないうちに死んでしまうという統計も出ています。

上記で「犬や猫がキツネに襲われるという例はあまりない」と述べましたが、その一方、犬や猫がキツネの子供を襲うという例は多く報告されているようです。

【住民の過度な拒否反応も】

キツネは通常心配されているほど人に危険をもたらすことはない、と指摘する専門もいます。キツネがある種の病原菌を運んでいる場合が多いことは事実ですが、キツネの場合だけほかの動物よりも危険性が高いというものではありません。

住民の子供たちが襲われた例についても、件数としてはかなり少ないことも事実のようです。

もちろん、件数が少なければ子供が襲われても問題ないということではありません。しかし、キツネはほかの肉食動物たちと同じく、通常は自分の身体よりも小さい動物をターゲットにします。

つまり、人の子供も含めて自分よりも体の大きい動物には近づこうとはしません。動物の習性として、身の危険を感じたときだけ自分の身体よりも大きい動物に立ち向かおうとするものなのです。

キツネを見つけた子供が好奇心からちょっかいを出し、それを身の危険と感じたキツネが防衛本能で襲った可能性も高いと思われます。もしそうであれば、ふだんから動物たちへの接し方について子供たちにも意識を高く持ってもらえるような啓蒙が必要かも知れません。

人の立場から見てもキツネの立場から見ても、それぞれに事情があり、それぞれが正しいということになりそうです。

生ごみや庭を荒らされたり、夜中の鳴き声で不快な夜を過ごしたりするのが住民にとって大きな迷惑であることは事実です。

しかしその一方で、キツネを一方的に悪者と決めつける前に、この動物の習性に対する理解を少しでも深めれば避けることが出来るトラブルがあることも事実なのです。

（出典）