サルが電線で感電してしまう事故が多発する南米 絶縁ケーブルの普及に向けた活動が進む

 

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こちらはサルのヴィンセント。

コスタリカに生息する「ホエザル」です。

 

ホエザルはクモザルの一種で、南米に多く生息しています。

 

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南米では絶縁されていない電線や変圧器が多く使われています。

 

今までは野生の森林だった場所にも、近年は人が住み始めたり工場などが建設されるようになり、電柱とケーブルが森林の中のあちこちに現れるようになりました。

 

いま、南米の森林に生息しているクモザルたちが、この絶縁されていない電線に触れて感電してしまうという事故が多発しています。

 

ヴィンセントとそのお母さんもこの事故に巻き込まれました。

 

お母さんが感電し、そのショックでヴィンセントの上に倒れ、ヴィンセントもお母さんと電線との間に挟まれて感電してしまった、と推測されています。

 

お母さんはその場で死亡しました。

 

ヴィンセントは一命をとりとめましたが、あまりにも幼かったため生き延びられるか心配されました。

 

ヴィンセントの症状は目に余るものでした。

 

顔や手にひどい火傷を負い、おでこの皮膚は溶けて骨まで達するほどの穴が開いていました。

 

さらに左目は火傷のせいで腫れあがり、左耳の耳たぶはなくなってしまっていたのです。

 

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何とか救助されたヴィンセントは、野生動物の保護施設に運ばれ救急手当を受けました。

 

最初、ヴィンセントはお母さんを求めて鳴き続けていたといいます。

 

しかしやけどの治療は無事に進み、傷も少しずつ治ってきました。

 

現在、ヴィンセントは獣医師の手を借りなくても生活できるようになったため、保護施設内でほかのサルの孤児たちと一緒に暮らしています。

 

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これらのサルの孤児たちは野生で暮らせる状態に戻ったら、コスタリカの森林に返されることになっています。

 

この保護施設には、毎年200頭の野生動物が運ばれてきます。

 

そして野生に戻るためのリハビリを受けたり、中には長期的なケアを受けるものもいます。

 

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同時にこの保護施設では、ヴィンセントと同じような事故の再発防止に向けた活動を行っています。

 

「Stop the Shocks」(感電を止めよう)と呼ばれるこの活動は、地元の電力会社の協力を得ることにも成功しました。

 

すでに絶縁ケーブルへの交換がいくつもの場所で進められており、望ましい前進が見られているようです。

 

しかしまだまだ絶縁されていない、つまりヴィンセントと同じような事故を引き起こしかねない電気施設はいたるところに残っており、地元の人たちの努力は続けられています。

 

 

 

 

 

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