SNS上でまん延している野生動物のオンライン違法取引

フェイスブックは世界中で使われている最大のSNSですが、今このオンラインサービスを使って希少動物の取引を行っている人たちがいることが判明し、問題となっています。

 

野生動物監視団体「Traffic」によると、マレーシアのフェイスブックユーザーが立ち上げたグループでは、何百もの保護対象動物が売り出されているようです。

 

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フェイスブック上で取引されている絶滅危惧種のテナガザル)

 

【100以上の業者が300種もの野生動物を扱う】

専門家たちは14のフェイスブック上のグループを、過去5か月にわたって毎日チェックし続けてきました。

 

その結果、300もの野生動物がペットとして売買されていることが判明。そのうち半数がマレーシアの法律で保護動物に指定され売買取引が禁止されているものでした。

 

またマレーシアに生息していない動物も69種含まれており、そのうち25種はワシントン条約で取引が規制されている保護対象動物だったのです。

 

「違法取引をしているのは、業者たちのほんのわずかの割合だけです。しかし今まで236の投稿、106の業者が違法取引に関わっていると判断されました。この調査結果から、様々な人たちがあらゆる所で違法取引に関わっていることが分かったのです」。

 

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(「ビントロング」というジャコウネコ科の肉食動物。絶滅危惧種だがフェイスブック上で取引されている)

 

フェイスブックの対応】

フェイスブック社はこれらの取引に関わる投稿については削除することをためらわない、と明言しています。

 

監視団体Trafficは、今回の調査結果をフェイスブック社と共有しました。

 

フェイスブックはこれらの取引を取り締まるための実践的な解決方法を模索しており、 「監視団体Trafficとともにマレーシアにおける野生動物の違法オンライン取引撲滅に取り組んでいます」と声明を発表しています。

 

 

【現地の取締り担当当局も目を光らせる】

監視団体はマレーシアでの取締担当当局にも情報を提供しています。

 

マレーシアの野生動物・自然公園担当部門は「すでに43件の違法取引を取り締まっており、54人の密売人を逮捕しました。フェイスブック上では67種の野生動物について違法取引を防ぐことが出来ました」と語っています。

 

この担当部門でもフェイスブック上の野生動物取引を2013年以来チェックし続けてきました。

 

「何よりも、違法行為を行った人たちには厳しい罰則が科せられるということをあらためて警告したいと思います」。

 

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スッポンモドキ。こちらも絶滅危惧種であるがフェイスブック上で売りに出されている)

 

SNSを使った新しい「闇市場」】

マレーシアでは野生動物違法取引の可能性があることは分かっていましたが、今まで実際に取引を成功させた業者はいないと考えられてきました。 

 

しかし今回、フェイスブック上ではマレーシアをベースとした闇取引が行われていることが判明したため、専門家たちを驚かせています。

 

SNSやスマートホンが普及したことで、野生動物を売り飛ばしてひと儲けしようと考える人たちにとっては、需要を見つけ出し売り込みをかけることが簡単にできるようになりました。

 

ITのおかげで、野生動物を世界規模で取引できる「新しい市場」が出来上がってしまったのです。

 

同様のオンライン違法取引は、今回取り上げられたマレーシアのフェイスブック・グループだけではなく、世界中で広まってきていると指摘されています。

 

Facebook wildlife trade prompts fears among environmentalists