東日本大震災に巻き込まれたペットたちの状況をあらためて学ぶ

f:id:georgekato:20160311191400j:plain

 

以下は環境省がまとめた「東日本大震災におけるペットの被災概況」(PDF)からの要約です。

事実の羅列になりますが、今日あらためて認識しておきたいことですので、取り上げました。

 

 

 

【死亡頭数】

<犬>

確認されているだけでも、青森県で31 頭、岩手県で602 頭、福島県では約2,500 頭が死亡。

 

<猫>

犬のような登録制度(狂犬病予防法に基づく登録義務付け)がないため、震災以前の飼養状況や震災による被災状況がほとんど分かっていない。

 

仙台市においては、震災直後から多くのペットの失踪届が出されたが、ほとんどが行方不明のまま飼い主の元に戻っていない。

仙台市動物管理センターに収容される動物数が多くなかったことから、津波によって沿岸部の動物が犠牲になったと考えられる)

 

【死亡以外の被害】

その他にも、

・命は助かったものの負傷した

・避難する際に飼い主と離ればなれとなり、放浪状態となった

といったペットが多数あった。

 

福島原発事故による警戒区域の影響】

福島原子力発電所の事故により警戒区域が設定されたため、住民は:

・ペットを自宅に留置

・屋外に放つ

・係留したまま避難する

などをせざるをえない状況となった。

 

【飼い主の被災によるペットへの影響】

ペットは直接的な被害を免れたものの、飼い主が被災したために飼養を続けることが困難となり、

・行政等にペットの一時預かりを依頼

・引き取りを依頼(所有権放棄)

するというケースも少なくなかった。

 

【動物病院が被災】

被災地の動物病院で預かっていた犬・猫の避難状況、被災状況についての詳細は把握できていない。

しかし、少なくとも岩手県大船渡市と宮城県沿岸部の動物病院では、地震発生後、津波に備えて病院スタッフが入院中の犬・猫と同行避難していたことが分かっている。

 

<大船渡市内の動物病院>

地震発生後、直ちに津波の発生を予測し:

・入院中の猫2 頭については病院スタッフがキャリーケースに収容し、避難所に同行

・大型の老犬はリードで牽引し、歩行により避難所に同行

別の犬1頭は開腹手術の終了間際に地震が発生したため、麻酔覚醒が不十分な状態で乗用車にて同行避難せざるを得ず、途中で車内に津波が侵入し犬は溺死。

 

宮城県沿岸部の動物病院>

発災当日、14 頭の犬・猫が入院していた。

・うち10 頭については備えてあったキャリーケースに入れて同行避難

骨折している犬、当日手術を終えたばかりの犬・猫については移動が困難なためケージの上段に移したものの、津波が地上2m にまで達し4 頭が水没

 

(以上、「東日本大震災におけるペットの被災概況」より。)

 

 

 

【ふだんから飼い主にできること】

人命の救助で精いっぱいの状況の中、ペットたちへの対応がどうしても後回しになってしまうのはやむを得ないかも知れません。

 

それでも、家族の一員であるペットたちには出来る限りのことをしてあげられるよう、ふだんの防災対策の中に取り入れておきましょう。

 

同じく環境省が発行している「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」には、飼い主用の対策マニュアルも載っていますので、目を通しておくとよいでしょう。

 

上野動物園のゾウは毎朝、飼育係の人たちと一緒に脚を鎖でつなぐ訓練を行っているそうです。

 

これは病気などの治療のために脚を鎖でつなぐ必要がある場合にも、決して暴れたりすることがないよう、毎日の日課として覚えこませているのです。

 

ペットの小型犬やネコについても、キャリーケースに慣れていないと、一刻を争う事態の際に余計な手間をかけてしまう恐れがあります。

 

できれば定期的にキャリーケースの中に入ることをしつけておくのが良いでしょう。

 

f:id:georgekato:20160311191426j:plain