2016年の年明けから1時間に1頭のスピードで続けられているゾウの殺害
毎年3月3日は「世界野生動物の日」に指定されています。
絶滅の危機に瀕する野生動物の国際取引について定めた「ワシントン条約」が採択されたのが1973年3月3日であったことにちなんで決められたものです。
今年の世界野生動物の日は「The future of elephants is in our hands」(ゾウたちの将来は私たちの手の中にある)というコンセプトが特に強調されていました。
【1時間に1頭のスピードで殺害が続く】
いまだに絶えない象牙を目的とした密猟のため、ゾウの生息数はなかなか回復の兆しが見えません。
アフリカとアジアでは、2016年1月1日からのわずか2か月間で、1,470頭のゾウが象牙目的に殺害されてきたことが分かっています。
これは今年のお正月以来、1時間に1頭のスピードでゾウが殺害されてきた計算になります。
また2012年からでは141,712頭のゾウが殺害されたと見積もられています。
密猟をしている人たちの中には、いずれ象牙の取引が合法化されると勝手に思い込んでゾウを殺し続けている人たちもいると言われています。
また、近年急速に経済発展を進めてきたアジア諸国に生息するアジアゾウについては、象牙目的の密猟以外の問題にも直面しています。
開発などのせいでゾウの生息地が破壊されてしまっため、食料や住処などを巡って現地の住民たちとの衝突が多く発生しており、これが原因で殺害されてしまうゾウも増えているという現実があるのです。
【日本国内の象牙取引は?】
「生息が安定し絶滅のおそれの少ないとされている南部アフリカ諸国のアフリカゾウのうち、自然死した個体などから集められた象牙」 を1999年と2009年に日本に輸入した
とのことです。
これらの象牙は登録手続きが取られ、輸入後の国内の取引も厳格に管理されている、としています。
またこの輸入から得られた収益は、「全て、アフリカゾウの保全と生息地や隣接地に暮らす地域住民の開発計画のために」使われている、と発表しています。
私たちは、象牙が過去何百年にわたって使われ続けてきた国に住んでいることを意識しておきましょう。
もしどうしても象牙が必要なのであれば、決して出所の怪しい象牙には手を出さず、正規のルートで輸入されたものを購入してほしいと思います。
違法な業者を通して象牙を手に入れれば、その人もまた、今年に入って1時間に1頭ずつゾウを殺してきた人たちに協力したことになってしまうでしょう。
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【世界野生動物の日】
冒頭で紹介した「世界野生動物の日」は2013年12月に制定され、2014年から始まったばかりのイベントです。
今年でまだ3回目ということもあり、私たちにとってもあまりなじみのない日であるというのが正直なところです。
公式ウェブサイト(Official website of UN World Wildlife Day)は英語のみでつくられています。
日本語ではこちらのサイトで比較的わかりやすく紹介されています。
将来はひな祭りと同じくらい認知度が高まってほしいものです。
(参考)
One elephant killed every hour of every day since Big Ben welcomed the New Year