「ヒガシローランドゴリラ」というあまり知られていない種類のゴリラについて
ふつうに見ただけでは分かりませんが、ゴリラにも数種類あり、たとえば東京の上野動物園に暮らしているゴリラは「ニシローランドゴリラ」という種類です。
(この写真のみニシローランドゴリラ)
「西」ローランドゴリラがいるのであれば、「東」ローランドゴリラもいるはずで、事実アフリカの一部の地域にこの「ヒガシローランドゴリラ」が生息していることが分かっています。
ゴリラの中でもあまりその生態が知られていない種類で、主にアフリカのコンゴ民主共和国にある森林で生息が確認されています。
ゴリラの群れの中でリーダー格となるオスは背中の毛が銀色になるため、「シルバーバック」と呼ばれています。
ヒガシローランドゴリラのシルバーバックは225kgを超える体重で、もちろんふつうの人の何倍もの力があります。
ヒガシローランドゴリラの生息数は、正確には分かっていません。
しかし、この数十年間にわたり激減していることははっきり分かっています。
コンゴ民主共和国は、かつてベルギーの植民地でしたが、1960年に独立しました。 (「コンゴ共和国」とは別の国です。)
65年にはクーデタが起こり、以後30年以上にわたり独裁国家の状態となります。
途中で「ザイール共和国」に国名を変更。民族間紛争などのため内戦が耐えない状況が長く続きました。
また、疫病の大流行があり多くの民衆が犠牲になったこともあったようです。
国がこのような状態の中、ヒガシローランドゴリラの住む自然も広く破壊されてしまいました。
国の動乱に、野生動物であるゴリラまでが巻き込まれたかたちです。
また人による密猟も行われていたといわれています。
現在ではよく知られていることですが、ゴリラはその風貌とは裏腹に、性格は穏やかで、とても平和的な生活を送っている動物です。
しかしこの事実も60年ほど前までは知られておらず、単に見た目やしぐさから「ゴリラは獰猛」と人々は思い込んでいたのです。
そういった思い込みから、ゴリラを「害獣」と決め付けてしまっていた可能性があります。
現在コンゴ民主共和国は、以前に比べると状況も落ち着いており、野生動物の保護区も決められていて、密猟などが行われることがないよう、現地の人たちが目を光らせています。
ヒガシローランドゴリラの保護のためには、観光客に現地の自然を体験して学んでもらう、いわゆる「エコツーリズム」が唯一かつ最高の方法である、と専門家たちは主張しています。
このエコツーリズム実現のため、保護区である国立自然公園では、ゴリラたちに人と接近することに慣れてもらう活動を行っています。
なかにはすでに人になれ親しんでいるゴリラもいるそうです。
(BBC - Earth - The elusive giants living deep in the forests of DR Congo)