「パンダ語」を中国の保護研究センターが読解

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中国中央部の四川省にある自然保護区では、パンダの調査に従事する研究センターがあります。

 

このたび、この研究センターがパンダの発する13種類の声を識別し理解できたと発表しました。

 

 

【パンダの赤ちゃんの「言葉」】

たとえば赤ちゃんパンダが「ワーワー」と発した場合、「ママ、僕を押しつぶしているから、ほかの体勢で抱っこして。そのほうが楽になるから」と言っている、と言うことです。

 

この研究センターはジャイアントパンダの人工繁殖について長い間研究を続けてきましたが、直近の過去5年間にわたってパンダの発声についても研究を続け、この「ワーワー」はその成果のひとつでした。

 

また、赤ちゃんパンダの基本的欲求は、人間の子供にきわめて似ていることも発見されました。

 

赤ちゃんパンダはほかにも「ジージー」と「カックー」という声も出します。

 

「ジージー」は「お腹がすいたから、ママのおっぱいちょうだい」と言う意味で、「カックー」はお腹がいっぱいになったときに発する声であることがわりました。

 

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【大人のパンダも「言葉」でコミュニケーション】

パンダのお母さんが鳴くような声を出すときは、世話をするために自分の赤ちゃんを探している場合があります。

 

また、「ワウワウ」と吼えるような声を上げているときはパンダは怒りを感じており、争いを始める可能性があるため、人はパンダに近づくのは止めたほうがよいということです。

 

繁殖期に入ると、オスのパンダは「バアー」と羊の鳴くような声を出し、それに対してメスのパンダは興味があるオスには「チューチュー」と鳥の鳴くような声を出して応じるなど、パンダ独自の「愛の言葉」を使うことも判明しました。

 

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【今後のパンダ研究に貢献】

この研究センターによると、パンダの発声について理解が深まることで、今後パンダの心理状態や生活習慣をより理解しやすくなると語っています。

 

研究センターではこの研究を2010年に開始し、パンダがエサを食べているとき、ケンカをしているとき、子供の世話をしているときなどの声を録音してきました。

 

そしてそれぞれの周波数を分析することで、パンダの言語のいくつかを解読してきたのです。

 

「研究を始めたときは、まるで鳥、犬、猫、羊などの鳴き声を調査しているような感じで、研究員はみなとても困惑していました」と研究センター長は語っています。

 

いわゆる「パンダ語」についての研究は今後も四川省の自然保護区で続けられることになっています。

 

パンダの発する声のより正確な意味を把握するまでは、まだまだ長い道のりが予想されます。

 

研究者たちはその研究結果を用いて、パンダの野生での繁殖をより多くするために、科学的な飼育方法を実践してゆく予定です。

 

また音声認識技術を用いることで、「パンダ翻訳機」なるものの開発も視野に入れている、とのことです。

 

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【依然として絶滅の危機に瀕するパンダ】

四川省省都である成都市にある「ジャイアントパンダ保護研究センター」は、1980年に設立されました。

 

現在この研究センターはパンダの保護と人工繁殖に関する機関として世界最大の規模です。

 

この研究センターにおけるパンダの新生児はつねに高い生存率を誇っています。

 

現在、全世界で生息が確認されているパンダは1,864頭のみです。

 

そのうち300頭以上が世界の保護センターや動物園で飼育されているもので、野生で生息が確認されているのは中国国内だけです。

 

近年は徐々に生息数が増加しているとも言われていますが、繁殖の条件が難しいことや、生息地が破壊されていることなど、現在でも種の存続が心配されている動物です。

 

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