ブタは知能の高い動物 チンパンジー並みのパフォーマンスもできる

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ブタはイヌよりも賢く、さらには人類に最も近いとされるチンパンジーと同レベルの知能を備えている、という事実。

 

これは2015年6月、比較心理学という分野の国際的な雑誌に発表された研究結果によるもので、今までは単なる食用肉の原料としか見られなかった動物の新たな特徴が明るみになりました。

 

「イヌやチンパンジー、ゾウ、イルカ、さらには人などと同レベルの認識能力を数多く備えていることが分かりました」とこの研究チームは語っています。

 

「ブタとの関係を見直す必要を示す科学的証拠が提示されたのです」。

 

 

【ブタが見せた高い知能】

この研究では、ブタやそのほかの動物に対して何十種類もの調査が行われました。

 

その結果、以下の特徴を発見したのです。

 

• ブタには長い時間記憶できる能力がある。

• ブタは迷路を通り抜けたり、物の場所を覚えるテストにも能力を発揮する。

• 単一のシンボルで表された言語を理解し、行動を表すシンボルと物体を表すシンボルの複雑な組み合わせを学習することができる。

• ほかのブタとじゃれあう行動をみせる。これはイヌやほかの動物も行う遊びである。

• 複雑な共同体に住んでおり、そこでは各自の行動履歴を記憶し、お互いを識別することができる。

• お互いに協力して生活する。

• 操作レバーを使ってスクリーン上のカーソルを動かすことができる。これはチンパンジーと同等の能力。

• 隠されたエサを見つけるために鏡を使うことができる。

• 自分以外のブタが持っている感情対して共感を示す。

 

   

【人とブタとの関係をもう一度見直す】

これらの研究結果により、ブタがイヌやネコなどのペットよりも知的・感情的に同レベルか、または高いレベルに達していることが分かります。

 

しかし私たち人間は、ブタをほかの動物よりも低いカテゴリーに入れてしまいがちです。

 

酪農でのブタの取り扱いは、このような高い脳力とは対照的な状況なのです。

 

農場でのブタは四角い枠の中に閉じ込められ、振り向くことすらできないようになっています。

 

いったん出産するとまた受精させられ、このサイクルを3~4年間にわたり繰り返し、最後にそのブタは屠殺されるのです。

 

さらに、とても混雑した場所に詰め込まれると、ブタは共食いをしたり、尾を噛み千切るなどストレスが原因の行動に出がちです。

 

そのため酪農家はブタの尾を切り取り、さらに麻酔をかけずにペンチを使ってブタの歯の先端を折ってしまう、という事例も報告されています。

 

 

【家畜の知性・感性を研究するのは「馬鹿げた」こと?】

この研究グループは、ニワトリについても調査を行い、この鳥が認知脳力、感情、そして社会性などを有していることについての証拠も発見しました。

 

このグループは今後、ウシやヤギなど農場で飼育されるほかの動物についても研究する予定です。

 

一部の人たちは、家畜たちについて知性・感性などの観点から研究することを、とても馬鹿げていると見ているようです。

 

しかし、そういう見方こそ家畜に対する私たちの今までの態度―「家畜たちは美味しい食べ物になればそれでよい。家畜は消費するものであって、感情はないのだ」―を表していると言えます。

 

従来のこういった考え方とは異なる観点から、これら身近な動物たちとの関係をもう一度見直す時期に来ているのかもしれません。

 

 

news.discovery.com