海南テナガザル生息数の減少 中国政府の資料により原因究明

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海南テナガザルは、現在わずか26~28頭のみが生存しているといわれています。

 

中国政府にある記録では17世紀までさかのぼることができ、それによるとテナガザルはかつては中国の約半分の地域にわたって生息していたことがわかりました。

 

しかし約150年前からこの記録に現れなくなります。

 

この傾向は人口の増加に反比例していました。

 

海南テナガザルは現在、中国南西部にある森林に生息しています。

 

わずか4つの群れだけが存在していて、このうちの一つは数週間前に発見されたばかりでした。

 

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この生息数の著しい減少を把握するのは難しいことですが、中国政府の古い記録は、この動物がいつどのように減少していったかを紐解くのに役立ちました。

 

今回の研究に携わったロンドンの動物学者によると、中国は長期間にわたる豊富な記録を保有している数少ない国の一つであるようです。

 

中国が複雑な政治体制を続けてきたことから、中央政府への報告義務が厳しく、単に家族の人数などを納税目的に報告するだけでなく、地方の自然資源についても同様の報告が求められていたのです

 

この記録により、17~18世紀までは、中国国内20の地方でテナガザルをふつうに目にすることができたことがわかりました。

 

さらに、テナガザルの減少傾向は、中国の人口増加と関係していることもわかりました。

 

帝政時代から20世紀初頭、そして中国共産党政権の始まりにかけて、中国では人口増加とそれに伴う大規模な森林伐採が行われたのです。

 

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テナガザルの減少についてのこのような詳しい資料があると、残り少ないこの動物の保護計画の策定に大いに役立つ、と研究者は語っています。

 

ある学者は、今でも中国で海南テナガザルを見かけることができるのは、まだ生息数を元に戻せる希望がある証拠だ、と語っています。

 

 

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