一瞬「まぬけな動物」に思えるアクシデント 悪いのは動物だけ?
以下は、ここ最近アクシデントに巻き込まれた動物たちのエピソードです。
まぬけな動物たちの話として笑い飛ばすこともできるかも知れませんが、動物だけの問題なのでしょうか?
【ビンに頭を突っ込んだフクロギツネ】
オーストラリアのクイーンズランド州のある住宅街で、奇妙な動物が発見されました。
もちろん新種の発見ではなく、ある動物がビンの中に頭を突っ込んでしまい、そのまま取れなくなってもがいていたのです。
たまたまこの家の前を散歩をしていた男性がこの様子を見て、大至急助けてあげることにしました。
この動物は日本語で「フクロギツネ」と呼ばれているもので、オーストラリアに生息する有袋類の一種です。 ふだんはユーカリの葉や果物など比較的甘いものを好む動物で、頭を突っ込んでいたのもパンに塗るチョコレート・スプレッドのビンでした。
男性は地元の動物救護団体に連絡。到着した職員がまずこのフクロギツネの首のまわりに油を塗って滑りをよくして、ゆっくりとビンを取り外しました。
幸いフクロギツネはまだ動ける状態で、ビンを取り外すときも自分の前脚でビンを押し出すような仕草を見せたそうです。 しかしどれくらいの間この状態で待ち続けたのか不明で、場合によれば手遅れになっていた可能性もあったのです。
命に別状はなさそうでしたが、職員はこのフクロギツネを施設に運び、念のためケガや脱水症状がないかチェックをし、元気であることを確認して、また野生に戻しました。
(Hungry Possum Gets Head Trapped Inside Nutella Jar - The Dodo)
【井戸に落っこちた子鹿】
アメリカ合衆国ネブラスカ州の森の中にある自宅で、住人の女性が奇妙な鳴き声を耳にしました。 間違いなく動物のか弱い鳴き声でしたが、どこにいるのか分かりません。
遠くのほうに一頭のシカがいましたが、そのシカが鳴いているわけではありませんでした。
女性が鳴き声の方に近づいて行くと、そのシカもなぜか近づいてきます。 女性がそのシカを見つめると、シカは離れていき、女性がまた鳴き声の方に歩いて行くと、シカもまた近づいてきました。
そうしているうちに、ようやくその鳴き声の出所がわかりました。 昔使っていた井戸の穴が自宅の裏にあり、鳴き声が聞こえてきたのはそこからでした。
その間もシカは遠くから女性の様子を注意深く見ています。
井戸の中をのぞいてみると、なんとそこには子鹿が、しかも3頭入り込んで出られなくなっていたのです。
女性は知人を呼んでこの3頭を引っ張り出してもらいました。 この3頭が果たしてどれくらいこの中で待ち続けたのかは分かっていません。
遠くから見ていたシカは、きっとこの子鹿たちのお母さんだと思われます。 3頭がお母さんと合流できたかを見届けることはできませんでしたが、子鹿たちはみんな地上に引き上げられるとすぐ走って逃げていったところを見ると、ケガなどはしていなかったと思われます。
その後、この井戸にはフタが付けられているそうです。
(Cries For Help Alert Rescuer To Three Baby Deer Trapped In A Well - The Dodo)
【鉄柵に首を挟んでしまったコアラ】
オーストラリアの南部にある大きな発電所の近くで、1頭のコアラがこんな状態で発見されました。
明らかに金属製のフェンスの下を潜ろうとしたとき、ちょうど頭を上げてしまい、そのまま首がぴったりとはまり込んでしまったようです。
コアラの向かっている先には水道があり、その水を求めて移動していたと見られています。
コアラは好奇心旺盛な動物ではありません。 ふだんは人のいるような場所に自分で乗り込んで行くことはない動物です。
毎日20時間睡眠をとり、ほとんど木の上でのんびりと暮らすコアラが、鉄柵に囲まれた建物に近づくことはきわめて珍しいことです。
夏の時期はユーカリの葉などに十分な水分が含まれていなかったり、近くに飲み水がなかったりすることがあり、その場合は自ら飲み水を求めて移動することがあります。 そう考えると、このコアラは脱水症状の直前だった可能性が高いのです。
通報を受けた救助員が確認すると、このコアラには番号札が付けられていました。 それは以前にも救助された過去があることを意味します。
番号「678」の履歴を調べてみると、2年前には木の下で気を失っているところを救助され、昨年は車にはねられて入院していたことのあるコアラでした。
しかし、こうしたトラブルに巻き込まれるコアラは珍しくないそうです。 1年間にコアラの救助依頼は2,300件にも達し、そのほとんどは夏場に発生することが分かっています。
開発による生息地の減少がその大きな原因であることは、すでに指摘されています。
(Accident-Prone Koala Rescued From Power Station Fence - The Dodo)
【少しの想像力で】
どのエピソードもバカな動物たちのまぬけなアクシデント、と言ってしまえばそれまでです。
しかし、開発によってコアラの暮らしを奪ったのはもちろん人間ですし、ビンを投げ捨てたり、使っていない井戸の穴をそのまま放っておいたりしたのは、やはり人間です。
少しだけ動物のために想像力を働かせてみると、こうしたアクシデントの一部は減らせるでしょう。それだけで、人も動物も余計なトラブルなく暮らせるようになるはずです。