今度はセシルの子供が犠牲に 今でも続くトロフィーハンティング

 

 

ジンバブエでライオンの「セシル」が殺害されたのが 2015年7月1日。

2年後の2017年7月、今度はセシルの子供がハンターに殺害されました。

 

f:id:georgekato:20170723144709j:plain

(殺害されたザンダ)

 

6歳のライオン「ザンダ」は7月7日、ジンバブエ北部にあるワンゲ国立公園付近でハンターに射殺されました。

ここは、2年前に父親のセシルが殺害された場所の近くです。

 

オックスフォード大学の「野生動物保護研究ユニット」は、遠隔から追跡するための首輪をザンダに取り付けてありました。

 

昨年の10月にこの首輪を取り付けた同大学のラヴリッジ博士は「ザンダはいわゆる「カラハリ・ライオン」と呼ばれている美しいライオンの一種です。見事なたてがみ、大型の身体、美しいコンディション ー とても素晴らしい動物なのです。私の意見では、ライオンを撃ち殺すことを楽しんでいる人がいるというのは悲しむべきことです。しかし、世の中にはそのために金を払う人もいるのです」と語っています。

 

オックスフォード大学の研究チームは国立公園の周囲5キロを「ノー・ハンティング・ゾーン」(no-hunting zone)にするよう訴えています。

 

イギリスBBCのアフリカ特派員のレポートによると、ザンダはすでに6歳になっていたので、いわゆるトロフィーハンティングのターゲットとすることは現地では合法でした。

 

ハンターたちはアメリカ、イギリス、南アフリカからやって来る人が多く、彼らはこの「殺す遊び」のためにお金を払うのです。

名目上、そのお金は現地で野生動物たちの保護活動をしているスタッフの活動につぎ込まれていることになっています。

 

ザンダを殺害したハンターは特定できていません。

 

リチャード・クックという名前のプロのハンターが、ザンダが死んだことを当局に報告し、その首に付けられていた追跡用の首輪を届けに来た、ということだけが報道されています。

おそらくこのクックというプロハンターはアマチュアのハンターを自分の顧客として現地に連れて行くサービスをしており、ザンダはそのアマチュアハンターによって殺害されたものと推測されています。

 

 

【セシルの死によって注目されたトロフィーハンティング】

ザンダの父親であるセシルは、米ミネソタ州出身の歯科医師ウォルター・パーマーによって殺害されています。

殺害当時13歳でした。

 

セシルは現地でもよく知られた人気のライオンであったため、その殺害は多くの人たちに衝撃を与えました。

 

セシル殺害をきっかけとして「トロフィーハンティング」という残酷な遊びがあることを多くの人が知るようになり、国際的な非難が高まりました。

メディアにも多く取り上げられ、パーマー氏の自宅兼歯科医院は抗議の人たちで埋め尽くされるほどでした。

 

パーマー氏はジンバブエでのトロフィーハンティングに参加するため5万ドルを支払ったと言われています。

 

一部のレポートによれば、セシルはまず弓矢で撃たれましたが一命をとりとめ、矢が刺さったままの状態で40時間生き延びた、ともいわれています。

パーマー氏はそんなセシルを追いかけ、衰弱しきったところをライフルで狙って殺害した、ということです。

 

f:id:georgekato:20170723145457j:plain

(生前のセシル)

 

 

【ハンティング賛成派の意見】

作家で熱心なハンターであるディゴリー・ハドーク氏は、このザンダ殺害のニュースが報じられた翌日イギリスのテレビに出演し、「管理されているハンティングであれば、希少動物の保護に役立つ」と発言しました。

 

f:id:georgekato:20170723144930j:plain

(TVに出演したディゴリー・ハドーク氏)

 

「現在法律で認められているハンティングが禁止されることになっても、やはりハンティングの合法化は続けられるでしょう」

 

「たしかにハンターは動物を殺しますが、殺害そのものはハンティングの行動全体から見れば一部分にすぎません」

 

番組の司会者が、トロフィーハンティングは遊び目的で動物を殺すのと何の違いもないのではないか、と問い詰めると「遊び目的で動物を殺すだけなら、例えばペットショップに行って子猫を買い、首を絞めて殺すことだってできるでしょう」と極端な例を挙げ、トロフィーハンティングはそのような残虐行為とは異なるという見解を示しました。

 

さらには「動物は毎日殺されているんです。それにハンターが動物を殺した場合、そのハンターは殺した動物を食べてるんですよ」と発言。

そして彼はかつてハンティングで殺害したバッファローを食べたことがあると言い出し、その角は家に持ち帰って壁に飾ってある、と語りました。

 

もちろんこれは多くの批判を呼び、ネット上も非難の嵐となりました。

多くの人たちはこのような極端で残酷な意見を受け付けることはありません。

 

しかしその一方で、これほどの社会問題になっても依然としてトロフィーハンティングを支持し、罪のない動物を殺すことに「意味」を見出そうとしている人たちもい続けるのです。

 

animallover.hatenablog.com

 

animallover.hatenablog.com

 

 

 

出典: 

Xanda, son of Cecil the lion, killed by hunter in Zimbabwe - BBC News

Hunter tries to justify killing lions like Cecil’s son and people are livid | Metro News