干ばつに苦しむケニアで野生動物のために一人で給水活動を続ける男性の話

 

ケニアにある「ツァボ・ウェスト国立公園」。

ここでは2016年6月から雨が降っておらず、野生動物が暮らす公園内には一滴の水もない状態が数か月続いています。

 

この状況に向かって一人で活動を続ける男性がいます。

 

地元の住人パトリックさんは、毎日3,000ガロン(11,000リットル以上)の水をトラックで運び、ゾウ、バッファローアンテロープ、シマウマなどに飲み水を与えています。

 

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「水が全くない状態が続いています。この状況では、私たちが助けなければ動物たちは死んでしまうのです」。

 

パトリックさんは「地元」の人ですが、ここは広大なケニア

給水トラックに水を満たし、それを国立公園内の動物生息地域に運ぶまで数時間かかってしまいます。

 

「トラックは重くてスピードが出ません。ゆっくり辛抱強く走らなければいけないんです」。

 

しかもトラックは個人の所有ではなく、パトリックさんが自分のポケットマネーでレンタルしているもの。

 

ケニアの干ばつはひどく、動物どころか現地に住む人たちも水不足に苦しんでいる状況です。

その中、大切な水を惜しまず動物のために与えるという活動を毎日休まず続けています。

 

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ふつう動物たちはトラックが騒音を立てて近づいてくると恐れをなして逃げるものです。

しかしここでは、動物たちはみなパトリックさんのトラックの周りに群がってくるそうです。

 

「昨日はバッファローが500頭くらい集まってきました。きっと水のにおいをかぎ分けることが出来るのでしょう」。

 

野生動物たちにとって、水は飲むためだけのものではありません。

私たちがお風呂やシャワーに入るのと同じように、動物たちも水や泥に体を浸したりこすりつけたりして、皮膚についてしまっているノミなどを落とします。

 

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パトリックさんは地元で農家を営んでいます。

その一方で、気候の変動がもたらす自然への影響を目撃してきました。

昨年はその降水量の異常な少なさから、動物たちが脱水症状を起こして次々と死んでゆくのを目の当たりにしたのです。

 

パトリックさんが取り組んでいるのは動物たちへの給水活動だけではありません。

自然保護プロジェクト「ツァボ・ボランティア」を自ら運営。

地元の学校を訪れ、自分たちの身近にいる野生動物たちが私たちの大切な宝であることを子供たちに伝える活動を続けています。

 

「私はこの地に生まれ、野生動物たちといっしょに育ってきました。子供たちにも動物たちへの意識を高く持ってもらい、将来は彼らが動物たちを守ってくれることを願っているのです」

 

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彼の地道な活動はアメリカへも知られることになりました。

パトリックさんの活動内容を耳にした3人の女性が、助けの手を差し伸べてくれたのです。

 

コネチカット州に住むブラウンさんは、パトリックさんの知り合いではありません。

しかし数年前にケニアを訪れたことがあり、そのとき目にしたこの国の野生動物たちの状況が目に焼き付き、忘れることが出来ませんでした。

 

ケニアの2016年の干ばつを知ったブラウンさんは、フェイスブックで協力を呼び掛けたところ、二人から連絡がありました。

それぞれユタ州バーモント州に住む人たちで、コネチカット州に住むブラウンさんを含めお互いまったく知らない人同士です。

 

しかし3人はネットで寄付を募り、今まで18,000ドルの募金が集まりました。

この資金はパトリックさんのケニアでの給水活動につかわれるものです。

 

そして遠くない将来、パトリックさんに給水トラックを購入できる資金を援助したいと考えています。

 

 

 

 

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